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2013 年度 実施状況報告書

オーストラリアにおける医師の民事責任に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24653027
研究機関龍谷大学

研究代表者

平野 哲郎  龍谷大学, 法務研究科, 教授 (00351338)

キーワード機会喪失論 / コンカレント・エヴィデンス / オーストラリア / 医療訴訟
研究概要

まず実体法的側面としては,オーストラリアの医療裁判実務における機会喪失論について下級審での肯定的な裁判例が最高裁で否定された流れを判例および文献から分析し,その理論構成と日本の最高裁判例である相当程度の可能性法理を比較し,論文発表した。機会喪失論はアメリカでは広く容認されている理論であるが,イギリスでは否定されており,オーストラリアがこれを受け入れるかどうか注目されていた。2010年に連邦最高裁がTavet v. Gett事件判決で否定的判断を示したことで一応の決着を見たものの,各州の最高裁レベルではこれを採用する判決も見られ,学説からの批判も強く,近い将来判例変更の可能性もあり,今後も注視する必要がある。
次に訴訟法的側面としては,オーストラリアにおいて最近非常に多く用いられているコンカレント・エヴィデンス(Concurrent Evidence)という証拠調べ方式について,文献調査をするとともにシドニーを訪問して,裁判官,弁護士,研究者から聞き取り調査を行った。この証拠調べは,複数の専門家(医師)が争点について一致できる点と一致できない点をまとめた共同報告書を裁判所に提出した後,法廷で同時に尋問を受けることによって,従来の口語尋問方式に比べて事案が解明しやすくなり,裁判官の心証形成を容易にするとともに,尋問を受ける専門家の負担を軽減するというメリットがあるとされている。この調査結果については論文発表するとともに,2015年11月の医事法学会学術大会ワークショップでも報告をすることが決まっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

文献調査に加えて,現地での研究者や実務家へのインタビューも実施でき,原資料の提供も受けることができた。

今後の研究の推進方策

今後は,入手した原資料の分析を進め,論文および学会での発表をする。邦文に加えて英文での発表も計画している。

次年度の研究費の使用計画

今年度は本科研費以外からの旅費支出をすることができたため。
次年度の旅費に充当する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] イギリス・アメリカ・カナダ・オーストラリアにおける機会喪失論と日本の相当程度の可能性の法理(2・完)2013

    • 著者名/発表者名
      平野哲郎
    • 雑誌名

      龍谷法学

      巻: 46巻4号 ページ: 169-248

  • [学会発表] 機会喪失論と相当程度の可能性論

    • 著者名/発表者名
      平野哲郎
    • 学会等名
      医事訴訟研究会
    • 発表場所
      立命館大学

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公開日: 2015-05-28  

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