本研究の目的は、2011年3月11日に発生した東日本大震災における国際支援活動に関して、「危機(戦争、内戦、自然災害、テロ)管理」及び「国際介入政策(国連を中心とした多国間紛争処理・国家再建・人道支援活動)」に関する先行研究に依拠しつつ、国際公共政策の観点から検証を行うことにある。具体的には、「国際緊急事態対応コンティンジェンシー・モデル」の考察枠組みにおいて、東日本大震災と他の大規模災害(2009年のハイチ地震、2008年の中国四川省地震、2004年のインドネシアスマトラ島沖地震・インド洋津波、1995年の阪神・淡路大震災等)を取り上げ、国連人道問題調調整部(UNOCHA)、国連開発計画(UNDP)、国連国際防災戦略事務局(UNISDR)などの多国間レベルでの対応を中心に実証的に比較検討するものである。 本研究を貫く主たる問題意識は、「発展途上国を対象とした多国間レベルでの平和構築・人道支援・経済開発支援活動のこれまでの実績を、今回の東日本大震災における国際復興支援にどのように役立てることができるのか」(「アウトサイド・イン」の視点)、及び、「今回の東日本大震災における復興支援活動の経験を、将来、発展途上国を対象にした平和構築・人道支援・経済開発支援活動にどのように生かしていくのか」(「インサイド・アウト」の視点)の2つをいかにして有機的に融合させるのかにあった。 最終年度には、インド及びネパールの自然災害被災地への現地調査も実施した。また、これまでの研究作業を踏まえ、政府系、非政府系の実務家へのインタビュー調査を重点的に実施し、実施東日本大震災型の「国際的複合危機」を念頭に置いた国際支援体制の在り方に関する考察に取り組んだ。
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