研究課題/領域番号 |
24653031
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
真渕 勝 京都大学, 国際公共政策研究科, 教授 (70165934)
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研究分担者 |
北村 亘 大阪大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (40299061)
上川 龍之進 大阪大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (40346656)
南 京兌 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (50432406)
秋月 謙吾 京都大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60243002)
大西 裕 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (90254375)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 地方分権 / 国際比較 / 自己防衛 / 反対政策 |
研究概要 |
自治体を含む下からの圧力がほとんどといってもよいほど存在しなかったチリと、地方からの県への分権化要求が非常に強かったボリビアの事例を比べると、両国とも広域自治体ではなく基礎自治体を強化した点で共通している。このことは、地方からの圧力によって分権化が行われたという主張の反証であり、両国の共通点は広域レベルにおける政権党の支持基盤が弱く、基礎レベルの支持基盤が強かったために生じたのである。ただし、ボリビアでは広域レベルに支持基盤を有する政党が政権を握り、2005年に広域自治体への分権が実現するが、チリでは2009年までコンセルタシオンが執政権を独占していたので、広域レベルの分権化は実現していない。また、コンセルタシオンが権力を独占していたチリと政党システムが極めて不安定なフィリピンを除く、分権化は、ボリビアの連立政権、頻繁に政権交代が行われたペルーにおける諸政党、コロンビアの二大政党両方、韓国の二大政党両方によって推進されたわけで、政党のイデオロギーによるものでもない。これらの国における政治的分権は民主化のための手段として使われると同時に、政権党が野党の主張に先立って政策のプライオリティーを先取りする形で政権党の自己防衛の手段として利用された。 これに対し、日本、イギリス、フランスでは、左派か右派かによらず、国政野党が地方分権改革を主張し、追求した。すなわち、日本の日本新党、イギリスの労働党、フランスの社会党は、野党の立場におかれていた時、政権党の持つリソースを削減し、政権党の政策を批判することで、自分たちの存在感を示し、有権者にアピールする手段として、要するに反対政策として地方分権政策を利用したのである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、24年度はフランス、イタリア、コロンビア、スウェデン、ノルウェー、メキシコを対象とし、25年度は日本、イギリス、ニュージーランド、韓国、フィリピン、インドネシアを対象に、分析を行う計画であった。しかし、24年度にフランス、コロンビア、日本、イギリス、韓国、フィリピンだけではなく、チリ、ボリビア、ペルーといった南米諸国についても分析することができた。このような状況を勘案すると、当初の計画よりおおむね順調に進んでいると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度には、イタリア、スウェデン、ノルウェー、メキシコ、ニュージーランドにおける地方分権政策を分析する予定である。研究代表者と分担者が役割を分担し、現地調査を行うとともに、全体としての統一性と一貫性を確保するつもりである。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の調査から不足する資料や情報を補うとともに、イタリア、スウェデン、ノルウェー、メキシコ、ニュージーランドといった研究対象国の現地調査を行うために、海外旅費として研究費を使用する。また、短期間に相当量の文献を読む必要があるために、博士後期課程の大学院生の協力があることが望ましい。文献の下読みなどで協力を得るために、人件費もかかる。研究全体の一貫性を確保するために夏期休暇中と冬期休暇中に研究合宿を行う。
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