現在、進みつつある日本の社会と政治の変容に伴い、政治家が有権者の支持を集め、票を得る方法も、大きく変わりつつある。本研究は、選挙戦における政治家の集票活動に注目し、その戦略と活動内容を、その背景となっている社会経済状況や歴史的経緯とともに理解しつつ、政治家などから聞取調査を実施しデータ化すること、また、分析手法の試行など今後の研究活動の基礎を築くことを目的とした。そのために、都道府県議会議員・市議会議員など各レベルの政治家について、その集票戦略・活動を詳細に調査・記録するとともに、本格調査に備え、聞取調査の方法・データの作成加工方法・さまざまな分析手法の適用可能性の検討に取り組んだ。 本計画で実施した聞取調査の対象者は、地方議員が主であり、兵庫県下などからかなりのデータを得ることができた。特に近接地からは繰り返し聞き取りができた。また、加えて、ジャーナリストや選挙管理委員会関係者なども対象とした。政治家の日常活動や政治活動の内容・頻度・接触相手・意図、支持団体との関係、他のレベルの政治家との関係などに注意を払い、各地の社会経済情報などの背景にも十分留意することを心がけた。調査の一部はデータ化され、それらを基に、変数・分析方法・仮説等を検討した。方法論上の試みとしては、新しい分析手法を取り入れるため、内容分析・インタビュー技法、グラウンデッド・セオリー・アプローチ等の分析手法について、文献を入手し、一部、実験的に試用しながら、今後の有効性について検討した。また、選挙活動におけるインターネット解禁が急遽、話題になったため、部分的にではあるが、調査・検討を行った。今後は、全国いくつかの地点での調査を拡大的に実施するとともに、中長期的には計量分析にも取り組み、今後の基盤研究の申請につなげることを考えている。
|