研究課題/領域番号 |
24653043
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
浅野 豊美 中京大学, 国際教養学部, 教授 (60308244)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 賠償 / 請求権 / 日米関係 / 占領 / ガリオア / 閉鎖機関 / 在外財産 / 引揚 |
研究概要 |
外務省の外交史料館において、近年大量に公開され初めた初期の賠償関係資料を複写申請した。この中には、地方に存在した燃料廠や軍需工場の撤去と賠償物資としての搬出、さらには、それが中止されて以後の日本の民間施設への払い下げを物語る資料が含まれている。 さらに、いままで賠償問題に関連して発表してきた論文の内容を深化させ書き改め、一冊の単編本『戦後日本の賠償問題と東アジア地域再編-請求権と歴史認識問題の起源』(慈学社、2013年)を発行した。これには、関連する他の研究協力者の成果も収められており、また、他のプロジェクトの成果も含まれている。 また、研究の根幹となるアジアへの経済協力を焦点とした日米特殊関係の形成と変容という問題意識について、アメリカ史や日米関係史を専門とした研究者からのレビューを受けるべく、名古屋大学の研究グループと共催で、賠償と戦後日米関係・脱植民地化に関する研究会を開催し、お互いの問題意識を交換し、実質的なレビューを受けた。 さらに、韓国の高麗大学において、「解放か分離か:日韓関係の原点」と題するシンポジウムを一般公開の形で共催し、韓国側の研究者との議論も積み重ねた。これは、日韓の請求権問題に関して現代に残された問題が、帝国解体時にさかのぼっていかに展開していったのかを整理報告したもので、請求権と経済協力をめぐり活発な討論を展開することができ、方法論をより国際的検証に耐えるものとして洗練することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要でも述べたように、タイミング良く韓国でのシンポジウムを開催することができ、地元の名古屋大学の研究チームとの連携も図ることができた。また、現在までの問題意識をまとめた著作物を通じて、広く問題意識を社会にアピールすることができた。また、公法学会では、日米特殊関係の歴史的起源として、ダムや水利事業という巨大技術を利用した政治の起源として、後藤新平やその人脈に関連した発表を行うことができ、また、台湾をめぐる歴史についてのかつて発表した論考を修正して、英語にて発表することもできた。
|
今後の研究の推進方策 |
賠償問題についての研究を、収集した新規資料を使うことで深めていく。指摘された問題点を踏まえ、過去の研究成果との関連を意識しながら、より強固な枠組みとしていく。名古屋大学の研究チームとともに、討論を深めていく。 また、外交史料館と、国立国会図書館での資料収集を続ける。資料を整理し打ち込の作業を続ける。アメリカにおける資料収集を、ワシントンの国立公文書館を中心に進めていく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
|