研究課題/領域番号 |
24653044
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研究機関 | 関西外国語大学 |
研究代表者 |
畠山 京子 関西外国語大学, 外国語学部, 講師 (90614016)
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キーワード | 国内規範 / 政策決定 / アクター / 合理主義 / 構成主義 / 規制作用 |
研究概要 |
2013年度においては、先行研究や関連文献の収集および分析に加え、政策決定者及び関係者(各省庁、防衛産業従事者、自衛隊など)に対するインタビューを集中的に行った。インタビューでは、各関係者が平和主義的規範及び武器輸出三原則をどのように認識していたのか、同原則の運用上の問題点はあったのか、どのような規範を持っていたのか、などを中心に質問した。さらに、資料やインタビューを通じて、武器輸出三原則の緩和決定時の経済及び安全保障環境についても考察を行った。その結果、アクターごとに規範に対する考え方及び感じ方は異なること(つまり、研究のタイトルの通り、規範が多面的であること)が明白になった。また、防衛産業を取り巻く経済環境及び技術的な環境は年々厳しくなっていることも判明した。この厳しい状況が、緩和を促進する一つの要因となったことも突き止めた。 以上の発見から、1.国内規範は多面的であり、アクターによって解釈が異なること、2.民主党が政権を握ったことが大きく影響していること、3.国内規範が政策決定に与える影響は限定的であることが分かった。この発見は、規範の影響力(規制作用)や寿命が、各規範によりなぜ異なるのかを説明することに貢献する。規範研究における新たな視座といえよう。 また、もう一つの事例である1967年及び1976年の同原則表明に関しては、資料を読み込み研究を進めた結果、当時の政治情勢(国内と国際)が大きく関係していることがわかった。つまり、反軍国主義的な規範に基づいて同原則が表明されたわけではない、ということである。この発見は、「規範が定着すると同時か定着以降に政策が制度化される」という既存の議論を覆すものであり、規範研究に与える影響は少なくないと思われるが更なる考察が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本計画では、2011年の武器輸出三原則の緩和及び1967年、1976年の同原則表明の状況を考察し、規範が政策決定に与える影響を検証することである。研究対象である2つの事例のうちの一つである武器輸出三原則の緩和(2011年)状況に対する考察は終了した。この考察により、国内規範が緩和決定に与えた状況は明らかになった。また、国内規範の多面性、限界性も明らかになった。そのため、研究は順調に進んでいると考えられる。 残りの課題は、1967年及び1976年の三原則表明時の状況を考察し、国内規範が政策決定に与えた影響および多面性があるのかどうか明らかにすることである。資料収集は終わり、考察および執筆が残るタスクであるが、進捗状況は計画通りであるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、1967年、1976年の武器輸出三原則の表明時における状況の分析を行い、国内規範がどのように形成されていったのか、また、多面的であるといってもどのような側面があったのか、長いスパンで検討し、一つの論文にまとめる。この論文により、構成主義者の規範研究に対して新たな視座を提示することを目的とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
差額は895円。 学会発表などの旅費に使用予定。
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