研究課題
挑戦的萌芽研究
本研究は、役割が大きく高まっている政府の経済政策がいかなる要因で決定されてきたのかを、政府を意思決定を行う1つの経済主体と考えて、その行動原理を明らかにすることを目的に遂行している。近年金融危機やデフレが深刻化する中で、各国の財政当局や中央銀行の役割は飛躍的に高まっている。しかし、それがどのような行動原理に基づいていかなる意思決定を行ってきたかを、行動規範に関する新たしい経済理論や詳細なデータを用いて分析した研究は非常に限られている。政府の意思決定という観点から財政政策と金融政策を比較した場合、その積極性という面で大きな差異が観察されている。財政政策に関しては、制度上の要因からその意思決定に一定の時間がかかるものの、多くのケースで景気刺激を行うことに積極的で、不況期に大幅な支出拡大が行われる傾向があるだけでなく、好況期でも支出の抑制は限定的であることが多い。これに対して、金融政策は、制度面では意思決定がスムーズに行われやすいにも関わらず、経済状況が変化している場合でも現状維持の政策を採用することが多いため、政府と中央銀行の間で意思決定に関する軋轢がしばしば顕在化している。本研究では、なぜこのような対照的な特徴が、財政政策と金融政策の間で観察されるのかを理論的・実証的に明らかにすると同時に、政府の行動原理に影響を与える枠組みを考察した。そして、それによって社会的に望ましい経済政策が実行されるにはいかなる施策が有効かを検討した。
2: おおむね順調に進展している
すでにいくつかの研究成果は論文としてまとめられた。まだ未完成の研究もあるが、引き続き研究を進める。
初年度は理論的な研究が中心であったが、今後は理論的研究をより進めると同時に、実証研究も積極的に行っていきたい。
実証分析のため、新規にパソコンやソフトウェアを購入する。また、内外の研究会や学会などで研究成果のレビューを受けるために、旅費を計上する。
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