研究課題
本研究では、役割が大きく高まっている政府の経済政策がいかなる要因で決定されてきたのかを、政府を意思決定を行う1つの経済主体と考えて、その行動原理を分析した。政府の意思決定という観点から財政政策と金融政策を比較した場合、その積極性という面で、財政政策は積極的だが、金融政策は現状維持が多いという大きな差異が観察される。本研究では、なぜこのような対照的な特徴が、財政政策と金融政策の間で観察されるのかを理論的・実証的に分析すると同時に、社会的に望ましい経済政策が実行されるにはいかなる施策が有効かを考察した。本研究では、財政当局の行動原理に関する研究と中央銀行の行動原理に関する研究を同時進行させた。前者では、従来の研究ではほとんど取り上げられることのなかった「株価ターゲット」という観点から考察に重点をおき、政府が株価のターゲットをどのように設定するのか、日本だけではなく他国でも同様の行動原理が観察されるのか、政府の行動を望ましい方向へ変えていくにはどのような枠組みが必要なのかなどを理論的・実証的に考察した。一方、後者では、「ロバストネス・アプローチ」に関して従来の研究よりも分析が容易な手法を開発し、それを応用してアメリカおよび欧州の中央銀行の行動原理を分析した。
2: おおむね順調に進展している
平成25年度は、平成24年度と同様に、研究協力者らとともに、財政当局の行動原理に関する研究と中央銀行の行動原理に関する研究を同時進行させ、一定の研究成果を得た。それら成果のうち、ある程度まとまったものに関しては、国内外の研究者のレビューを受けるため、大学のセミナーや国際会議等でその成果を積極的に報告すると同時に、みずからミニコンファレンスを開催してその成果を国内外にアピールした。
平成26年度も、これまでと同様に研究協力者らとともに、財政当局の行動原理に関する研究と中央銀行の行動原理に関する研究を同時進行させる。ただ、今日の世界経済の情勢は日々刻々と変化している。このため、そのたびごとにデータベースをアップデートし、情勢の変化に対応した新しいスタンスで研究方針を適宜変更していく予定である。さらに、本研究の成果はきわめて政策的に重要なインプリケーションを学界だけでなく、一般社会にもつと考えられる。このため、政策当局者と積極的に交流することによってその成果の重要性を説明してフェードバックを受けると同時に、一般の新聞や雑誌にその成果を専門家以外でも理解できる形で公表し、研究成果の社会還元を行っていきたいと考えている。
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堀内昭義・花崎正晴・中村純一編『金融経済と企業行動の動態分析』東京大学出版会
巻: 未定 ページ: 未定
Global Journal of Economics
巻: Vol. 2, No. 2 ページ: 1350007-1350025
10.1142/S2251361213500079
花崎正晴・大瀧雅之・隋清遠編著『金融システムと金融規制の経済分析』勁草書房
巻: 第8章 ページ: 193-218