研究課題/領域番号 |
24653050
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
小野崎 保 立正大学, 経済学部, 教授 (10233595)
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研究分担者 |
齊木 吉隆 一橋大学, 商学研究科, 准教授 (20433740)
石山 健一 国士舘大学, 政経学部, 講師 (30610133)
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キーワード | マクロ経済学 / 景気循環 / 同期現象 / ウェーブレット / 非線形振動子 |
研究概要 |
本研究の目的は、景気循環の同期現象について、(1)ウェーブレット解析の手法を用いたデータ分析、および(2)非線形結合振動子系の理論による理論的・数値解析的分析により解明することであった。 まず(1)については、景気変動を捉える代表的な指標である都道府県別鉱工業生産指数の月次データに対してクロスウェーブレット解析を適用して、47都道府県間の同期レベルの時期による変遷を調べた。それにより、同期レベルには時間的変遷が見られること、バブルが発生している時期には同期レベルが高くなること、特にバブル末期から崩壊期にかけて同期レベルが高くなることなどを発見した。 次に(2)については、研究代表者がかつて開発した多地域景気変動モデル(大域結合写像モデル)の数理構造を解析した。それにより、カオス的遍歴という複雑現象が広いパラメタ領域で発生することを観察することができた。カオス的遍歴とは高次元カオス系に特有の現象で、異なる複雑な状態間を経巡る起動が存在する。また、このモデルには、カオス的遍歴を引き起こすパラメタ領域など, モデルの次元によらない普遍的な構造があることを示すこともできた。 最後に、このモデルにおける間欠性現象が非双曲力学系における重要な構造のひとつであるヘテロ次元サイクルと関連していることを、系に埋め込まれた不安定周期軌道を用いて明らかにすることができた。 これらの結果は、現在論文として取りまとめているところである。
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