日本の戦後改革を明治維新期からの流れのなかでどのように位置づけるかは、日本社会の特質を考える上でも重要な論点である。この研究は戦後にいわゆるシャウプ使節団が租税についてのアドヴァイス役を担ったという経緯から逆算して、開国維新期および南北戦争以来の日米の租税思想の展開を検討した。 19世紀末のイーリーの議論の紹介翻訳や単税論の展開、および1910年前後からのセリグマンの摂取など、アメリカの財政・租税思想の日本への影響が確認できる。日米いずれの場合もヨーロッパとりわけドイツの租税思想の影響のもとにあって、シャウプ使節団の時点ですでに共通基盤が備わっていた。研究成果の一端は英文論文集として結実した。
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