研究課題/領域番号 |
24653055
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
藤井 賢治 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (20189989)
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キーワード | ケイパビリティー論 / 取引費用論 / 組織的学習 / 人的資本論 |
研究概要 |
本年度は、「マーシャル的研究計画の現代的可能性」を意識して、学会発表及び研究会発表を各1回行った。 学会発表(経済学史学会,於関西大学、2013年5月26日、報告論題「マーシャル的研究計画の可能性」)の趣旨は、マーシャル以降のケンブリッジ学派の経済学と、いわゆるアメリカ新古典派とを別系譜として理解すべきではないかとの問題提起である。マーシャル的(ケンブリッジ的系譜)を「生産の経済学」(プルートロジー)として、アメリカ新古典派を「交換の経済学(キャタラクティクス)として区別する試案を展開した。 また、研究会(近代経済学史研究会、於大阪府立大学I-siteなんば、2013年8月19日、報告タイトル「マーシャリアン・パラダイムの再検討」)ポスト・マーシャリアンと呼ばれる研究者集団が形成されてきたが、実は何をもってマーシャリアンと自称(他称)しているのか明確にされないままである。主にマーシャルの組織的知識改善論と、シュンペーターの革新論を対比させながら、両者における革新の主体の違いを指摘した。つまり、マーシャルにおいては、企業者個人というよりも、組織内メンバー間の情報交換・知識共有という組織的な知識生産活動が生み出しているのに対し、後者においては革新の創出はもっぱら企業者個人の卓越した経営判断に委ねられている。 また、9月上旬には学会発表要旨を基礎にした論文を学会誌へ投稿をしたが、翌2月になってサスペンドの審査結果を受け取ったため、現在鋭意書き直しを進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
学史研究と現代経済学研究との連携の可能性を探ることが本研究の目論見であるが、従来型の学史研究から離れようとすると、依るべきスタイルが存在しないために、不十分な学史研究か、不十分な理論研究の何れかに判定されてしまう。学史研究を踏まえつつ、なお、現代経済学的な連関をつけることの難しさに直面している。 この状況を打開するためには、より広く、マーシャル以降のケンブリッジ経済学を研究する人々との意見交換が必要だと考え始めている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、この研究をさらに発展させるべく、マーシャル組織論とコース、ウィリアムソン等の現代組織との関連を検討する小論の執筆を試みたい。 また、昨年度は外国人研究者の招聘計画をしていたにもかかわらず、相手都合で開催がかなわなかったが、今年度は科研費最終年度でもあり、研究会の開催もしくは海外の研究会への参加を実現させたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外から研究者を招聘する予定であったのだが、直前になって来日困難となり、研究会が開催できなかった。 海外からの招聘を再度計画するか、さもなければ、海外への調査研究(イタリアのマーシャル研究者との意見交換)をおこなう。 また、国内で現代経済学を意識した学史研究を行っている研究者に呼びかけて、研究会を開催したい。
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