経済学史研究は、現代経済学との補完関係を失いかけており、これまで通りの研究方法・スタイルでは一専門文やとしての地位を確保しがたくなるとの危機感に端を発して始めた研究であった。 研究計画段階でえは、報告記録により詳しく記すように、三段階で進める予定であった。結果敵には、第一段階として自身の研究の総まとめをするという段階は不要であると判断し、事実上これをスキップして進むこととした。 第二段階で意図したことは、経済学史研究の危機という(私にとっては自明にも思える)問題をより多くの学史研究者に理解してもらい、その共有を図るということであった。そのような意図のもと、これまでよりは積極的に学会・研究会での発表を心がけた。(どのような発表を行なったのかについては、研究報告に記した。)同じ意図に基づいて、小規模ながらも固定的なメンバーによる研究会を述べ四回開催することができた。参加者を固定したことで、相互に問題意識の共有と理解のすすんだことは確かである。(この成果を中断させることのないようにと、同趣旨の活動を拡大する意図をもって科研申請に臨んだが、残念ながら今年度は途切れてしまった。) とはいうものの、中堅の研究者には現状を換えねばならないという問題意識を強化してもらえたという事実は、これまでの個別的な関心に埋没しがちな学史研究の枠を少しばかり超えた研究活動を展開できたのではないかと自負している。学史研究は、今後、これまでのスタイルを破棄するくらいの覚悟で、新たな研究方法とスタイルを模索しなければならないとの危機感と一定の方向性の共有にいたったことが成果である。
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