本研究では、家賃補助のあり方が借家居住期間に与える影響を行動経済学の観点から計量経済学的に明らかにした。大阪市住宅供給公社から入手した住宅の特性、家賃構造、キャッシュバック制度の有無、世帯の所得、家族特性などのデータをもとに、キャッシュバックの額およびキャッシュバック期間が、特定優良賃貸住宅に居住する期間にどのような影響を与えるかを、ハザードモデルを用いて計量経済学的に明らかにした結果、キャッシュバックをもらった世帯で退去率が高いこと、その退去はキャッシュバックが切れる前後で特に高くなることが示された。また、この結果は子育て世帯においてはあまり見られないことがわかった。
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