本研究は、中央研究院台湾史研究所や新庄市立図書館等に所蔵された貴重文書を使って、蘭領ジャワまで拡がる堤林のビジネス・ネットワークのみならず、戦前期のジャワにおける台湾籍民や華僑の実情、そして日本の「熱帯」認識も検討した。この作業の過程で、植民地期台湾の財界の中心的人物であった三好徳三郎の残した史料群の『三好徳三郎関係資料』や『旧台湾銀行文書』を発見し、日本―台湾―東南アジアとのネットワークに関する将来的な研究可能性をひろげることができた。また、本研究を通して、台湾の中央研究院台湾史研究所の鍾淑敏氏との親密な協力関係をつくることができたのは、次の研究計画につながる大きな成果の一つである。
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