本研究では、サービスの価値を整理し、国際会議の効率的な業務を遂行するための運営手法について取り組んだ。国際会議主催者が行う業務は、多かれ少なかれ国際会議がステークホルダーに提供するサービスに関連している。そこで、ステークホルダーが満足する状態を推定し、国際会議に焦点を当てた業務の整理を行った。整理の基準は、業務の効率化とステークホルダーが得るサービスに焦点を当てている。具体的には、サービスの価値をベースに業務の順序やタイミングを規定している。ここでの業務整理の特色は次の2点である。(1)文章による記述だけではなく、サブ業務が存在する場合、構造的に明示。この際に開始から完了までを、大きくメタ業務に基づき分類。(2)メインとなる業務を中心に、各種委員長の役割ごとに、会議場選定の時期から完了までをフロー図を用いて図示。以上の成果を実現するために、【1.国際会議主催者と参加者に対する業務とサービスに関するフィールドワーク】を行った。主として、国際会議主催者や参加者へのインタビューを通したデータの収集を行った。つぎに、【2.業務価値類型化および業務評価手法の開発と効果的な国際会議運営の事業計画手法の開発】を行った。業務およびそのフローとサービスに関する価値を定義し、事業計画方式を開発した。最後に【3.会議主催者を支援する業務計画シートの開発と有効性の評価】を行った。具体的には、以上の調査に基づいて開発したサービス価値に基づく業務整理に基づいた国際会議業務フローモデルを用いて、国際会議主催者業務管理支援システムを開発し、実際に国際会議主催者が利用できるよう提供した。研究期間終了時において国内30団体以上の国際会議主催者が利用しており、本研究の一定の成果が得られたことが確かめられた。
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