本年度の実施計画は、企業を管理運営するためのシステムの開発方法を検討し、その移行過程を含めた理論化を進めることである。 現在、企業のシステムをつくるソフトウェア開発において、従来のように最初にすべての作業の見積もりをしてそれを受注する業者を入札で決めるという方式だけでなく、様々な方式が出てきている。例えば、ある企業は、先に金額と時間を提示し、その範囲内で作れるシステムを提供し、顧客はそれに対する使用料を毎月支払う。顧客は、そのサービスをいつ解除してもいい。このため、顧客は、システムに関する巨額の先行投資なしに、その状況を見ながら満足度の高いシステムを利用することができる。こういった形で必要なシステムを少しずつ作ることが、顧客企業の競争力強化にも影響を与えている。 従来の方式のように、最初に見積もりを出して開発業者を決めると、結果的にその案件で赤字となってしまうことが時々起こる。こういった事例を減らし、安定した収益を得られるようにするため、従来の開発方式を改め、上述のような全く新しい方式の受注方式を導入することが求められている。ほかにも、新しいビジネススタイルに基づく開発方式は広がっているが、まだ一般的ではない。その普及にはまだ克服しなくてはならない点が多い。とりわけ、技術的な問題点をどう克服するかが、研究上の大きな課題として残されている。この点を解明することにより、本研究をさらに進展することができる。
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