本研究は、戦後日本の「ものづくり」系および「科学に基礎をおく産業」系企業における研究開発・製造部門に所属した人々が有した知的内実、技術的知識の生成過程を明らかにするもので、次の事実を確認した。 (1)「ものづくり」系企業の製造部門において、技術者は、高等教育機関にて習得した知識およびスキルを用いて、新技術の導入を実現させ、作業員が体得していた技能を定量化・マニュアル化していった。(2)「科学に基礎をおく産業」系企業における研究開発部門の人々は、物質の分子構造や反応メカニズムという目に見えない世界の現象を言語化でき、それらを操作して目標とする機能を有する物質を創出できる能力を有していた。
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