研究課題/領域番号 |
24653094
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 徳山大学 |
研究代表者 |
赤岡 広周 徳山大学, 経済学部, 講師 (70571074)
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研究分担者 |
陳 韻如 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (00389404)
平野 実 県立広島大学, 経営情報学部, 教授 (00405507)
赤岡 功 県立広島大学, 公私立大学の部局等, その他 (10025190)
井村 直恵 京都産業大学, 経営学部, 准教授 (10367948)
朴 唯新 宇部工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20435457)
李 在鎬 京都橘大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (40342133)
姜 判国 県立広島大学, 経営情報学部, 教授 (50405510)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | スマートフォン / トヨタ自動車 / G-Book / ITS / カーナビ / 標準化 / カーコネクティビティコンソーシアム |
研究概要 |
本研究の目的は、現在進行しつつある自動車間の通信規格の策定に関し、自動車関連各社および各国行政機関はどのような取り組みを行っているか、明らかにすることである。本年度は、研究メンバーによる研究会を毎月・隔月のペースで開催した。また、海外におけるCCCの現状分析の一環として、韓国の行政機関におけるCCCへの対応について、担当者に対するヒアリング調査を行った。また、CCCの現状分析に関し、外部研究者を招聘して2度のセミナーを開催した。うち1回は、主に方法論に関するセミナーである。残る1回は、国内における自動車の通信技術に関するセミナーである。分析方法としてテキスト分析・ネットワーク分析を用いた時系列分析を予定しているため、テキスト分析・ネットワーク分析用ソフトウェアの導入を行ったほか、分析用データベースの構築を開始した。次年度、時系列分析を行うに足るデータベースが構築された時点で、分析に着手する予定である。本年度の研究成果として、カーナビの普及プロセスにおける、自動車メーカー、ディーラー、機器メーカーなどの戦略と流通の変化について学会報告(李在鎬氏、日本経営学会関西支部会)を行った。本報告は、日本の純正カーナビゲーション端末機(以下「カーナビ」と略す)の技術発展と普及、それにともなう市場調達の浸透について明らかにし、内部ネットワーク取引の段階的な拡張とアーキテクチャの変化の意味について検討するものである。CCCによって取り扱われる通信機能は多岐にわたるが、その中核を占め、かつ、既に実用化され普及しているもののひとつがカーナビである。カーナビの普及過程の分析は、今後のCCCの展開を予測するうえでの参考事例として有益である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一に、研究メンバーを交えての研究会を重ね、問題意識、論点、知識等の共有がおおむね進んだ点である。第二に、海外行政団体からの調査協力が得られ、海外調査を行うことができた。これを礎とした、今後の更なる調査協力獲得への目処がついた点である。第三に、分析方法についても、メンバー外の専門研究者によるレクチャーを受け、一定の目処がついた点である。第四に、時系列分析は、ある程度の期間データ蓄積を行うことが不可避であるが、研究期間の残期間、報告書等作成にかかる期間を勘案しても、十分と思われるデータ蓄積期間を確保することができると考えられる点である。第五に、本研究会は、経営学、とりわけ組織論・管理論を主分野とする研究者が大半である。このため、自動車および通信関連技術については必ずしも詳細ではない。このため、今年度は自動車および通信関連技術の専門研究者を招聘し、研究会を開催することによって自動車および通信関連技術に関する専門的知見を得ることができた点である。第六に、本研究課題は、現在進行しつつある技術発展を研究対象としたものである。研究の遂行にあたっては、関連技術についての日々の動向をキャッチする必要があるが、本研究課題に着手し、本研究課題に関する知見が広まったことによって、メディア等で流れる関連情報に対する感度を増すことができた点である。これにより、時系列的なデータ蓄積を行う際、収集項目の追加修正等を適切に行うことができるようになった点である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は、初年度を終えたところであるが、時系列分的なデータ蓄積を必要とするため、データ蓄積を進める計画である。また、自動車、通信、交通システムに関する事例分析を行うため、自動車関連企業または自動車関連の業界・行政団体、通信関連企業または通信関連の業界・行政団体、交通システム開発・製造・メンテナンスに関連する企業または通信業界・行政団体から調査協力を得ることを目標に、調査協力の獲得に向けた活動を行う予定である。また、本研究会メンバーは、経営学(特に、組織論や管理論)を専門研究領域とする研究者で多くが構成されており、技術系専門研究者(とりわけ、自動車、通信、交通システムに関する専門研究者)が研究メンバー内に含まれていない。このため、本年度は、これらの技術的知見を得、かつ、研究会メンバー間にて共有と深化を図るべく、必要に応じて当該分野の専門研究者等を招聘し、研究会を開催する可能性がある。また、本年度は、データ分析手法について知見を深め、データ分析の方法を確定すべく、データ分析に関する専門研究者を招聘して研究会を開催したところであるが、今後も、必要に応じて研究会を開催する可能性がある。また、本研究課題は現在進行中の技術的変遷と、技術に関する組織間関係の変遷について分析を行なっている。このため、本研究課題にとって重要なニューストピックも数々発表されているため、本研究課題に関連する企業・団体・行政等の動向および技術進化の状況等について、各種メディア記事のチェックおよび文献調査についても継続していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
第一に、時系列分析のためのデータベースサービス使用料として充当する。これに伴い、ソフトウェア購入費やクラウドサービス利用代金が発生することがある。第二に、自動車関連の業界・行政団体、通信関連企業または通信関連の業界・行政団体、交通システム開発・製造・メンテナンスに関連する企業または通信業界・行政団体に対し事例分析を行うための旅費交通費(必要があれば謝金)として充当する予定である。このための出張先は国内の可能性もあるが、海外にて調査協力を得た場合は、海外への出張または海外からの招聘となることがある。第三に、事例分析以外の目的でも出張を行う(または研究者等を招聘する)可能性がある。本年度、主にデータ分析の手法を学ぶ目的で、研究科外部の研究者を招聘したためである。今後、研究を遂行するための研究方法・分析方法について検討するため、同様の手法を取る場合がある。第四に、今後も研究会を行うための旅費交通費および会議費として充当する。本研究メンバーは8名であるが、各者の所属研究機関は、名古屋、滋賀、京都、広島、徳山と広域に広がっている。共同研究であるため、問題意識と研究の方向性の確認とすりあわせ、各種打ち合わせ、情報の交換と共有、議論による研究の統一を図るためにも、今後もこれまでと同様に、可能な限り共同で研究会を開催したいと考えている。第五に、研究成果の学会発表を予定している。そのために、学会出張旅費を計上する見込みである。第六に、本研究課題は、現在進行中の事象を取り扱っている。このため、研究遂行上、ニューストピックのチェックも重要となる。このため、各種文献にかかる費用が発生する見込みである。
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