本研究の目的は、日本人の消費者行動に対する素朴弁証法の影響を検討することであった。3つのプロジェクトから、日本語版弁証法的自己観尺度が開発され、素朴弁証法が日本人においても支持されていることが確認された。また素朴弁証法は、相互協調的自己観といった、これまでの研究で頻繁に用いられてきた文化的枠組みとは異なる概念であることも確認された。さらに、素朴弁証法が高い人においては、相互協調的自己観と相互独立的自己観が同程度で共存している可能性が示された。そして、消費者行動の文脈においては、消費者のブランド評価に対して素朴弁証法が影響を与えていることが示唆された。
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