研究課題/領域番号 |
24653102
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 流通科学大学 |
研究代表者 |
小笠原 宏 流通科学大学, 商学部, 教授 (10258163)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | マーケティング・ミックス / 市場分析 / インターネット |
研究概要 |
ネット環境の変化と普及度の高まりにより、インターネットを介した流通市場における販促やマーケティング活動も多様化が進んだ。市場取引に於ける購買行動、製品開発含めたサプライ・チェーンも変容してきている。従来の伝統的、通俗的なマーケティング手法も携帯や手法をかえて、変容及び進化をしているともいえる。だが、相変わらず十分な検証や分析は不十分で、背景となる理論構造や実証データは曖昧なものも依然多い。これらのことが、今年一年での事例研究、市場リサーチでの改めての所感である。むしろ、成果の検証といった試み自体への不満と期待という視点に加えて、逆説的ながら、不要との結論も選択肢の一つに考えられる結果となった。様々な新商品や新サービスが、景況感の微妙な変化時期とちょうど重なったこともあり、それなりに登場した時期でもあるが、政治的環境や日本の国際関係における状況変化、とくにアジア市場の重要度の変化の兆しが強く現出したこともあり、かような複合的要因をどのように処理して、製品、サービスのマーケティングミックスの成果分析に適切な事例及び検証可能データを収集し、整理するという議論において、分析手法、アプローチの再検討が必要になったともいえる。先述のネット環境、通信環境などの拡大だけでなく中身の進化及び普及という側面では、影響及び可能性特に実質亭な用途拡大含めたインフラ化の進行が流れとして基本にあるが、まだまだユーザーの意識や動向において不透明な部分も多く数多くの見通しや期待が表明されており、同様に時代と環境に適応したあるいは先取りしたようなマーケティング手法の事例や関連データの収集、検討を継続して進める必要性が認識された。この部分の事例や関連データの収集を今後強化していくつもりで検討及び準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本の対外関係のうち、アジア情勢(とりわけ日中、日韓関係)の悪化傾向により、企業のアジア国内に於ける商業活動に関する状況悪化が一時的にみられた。また政権交代により経済政策の大胆な方針転換もあり、為替相場の状況も変化した。それらの成果が、例えば政治手的な要因なのか、継続的な販促効果によりものなのか、識別することは当然難しいが、複合的な環境の激しい変化があったことはデータを扱い場合に環境要因として十分留意する必要がある。従って、データ分析、事例研究などにおいて分析の困難さが高まったのも事実で或る。販促活動他の経過測定、企業側インタビューなどの内容的な実効性が得られないようなケースが出てきたこともある。当初予定の事例収集や既存の理論研究という点では概ね充当に進められたといえる。これは継続する必要がある。アジア以外に、欧米方面でも、ユーロ経済圏内の一部メンバーの債務状態の悪化など、経済インフラの不安定性がましたのも想定外(以上)であった。この辺りの状況変化の各種事例やデータに与える影響の度合いと中身を解析しする必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
拡大途上という視点から、アジアの中でもタイなどの中堅国の市場調査を実施する。従来から重要市場で或る欧米市場の事例やデータ収集を継続して行うと共に、必要に応じて企業訪問、実践機会(展示会、商談会などのイベント)のリサーチを進める一環として、多様な事例収集と検討を継続する。合わせてマーケティング理論のフレームワークの整理と統合を検討し進める。また、市場環境が激しいような場合の、環境要因との関係を考慮した中でのデータ分析及び事例検討の手法を精錬化する。市場における経済主体の供給及び需要サイドの行動様式をうまく再現できるようなシュミレーター実験なども検討し、可能であれば試行も行うものとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
特に重要と考えているのは、政情、市場状態の安定化の様子を伺いなら、途上市場として、また本邦企業などが進出するあらたな国としてのアジア市場のうち、従来から関係も深く、実績もある市場の事例として、タイ市場の現地調査及び視察を年度後半に実行を予定している。その周辺国の状況、推移も合わせて検討し、関連実証データおよび事例収集も試みたい。国内では、実際の各種のサービス業はじめ、様々な業界が行う展示会や見本市などの状況をリサーチして、現場、最前線での状況をリサーチして分析を進めていこうと考えている。
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