研究課題/領域番号 |
24653106
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
関口 智 立教大学, 経済学部, 准教授 (60409539)
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研究分担者 |
木村 佳弘 公益財団法人後藤・安田記念東京都市研究所, 研究部, 主任研究員 (50559812)
伊集 守直 横浜国立大学, 経済学部, 准教授 (30468235)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | スウェーデン / 財政 / 公会計 / 予算 / 決算 / 政府間財政 / 監査 |
研究概要 |
当初計画のとおり、平成24年4月~8月は平成24年9月に行うスウェーデン中央政府の公会計に関する調査の事前準備を行った。まず、スウェーデン中央政府による『年次報告書』を入手し、財務指標の時系列分析、非財務指標の確認、監査報告書の内容、会計上の特徴等を把握した。その際、「政府間財政関係」を意識し、これまで研究代表者と共同研究者とでおこなってきた、地方公会計での諸論点との対比を意識した。さらにスウェーデン中央政府の公会計制度に関する先行研究史、予算制度との関連について整理を行った。 平成24年9月には現地でのヒアリング調査を行った。スウェーデン財務省予算局へのヒアリングでは公会計制度と予算制度との関連を、スウェーデン財務省財政運営庁(ESV)へのヒアリングでは国民経済計算(SNA)と中央政府公会計制度・地方政府の公会計制度との関連を、スウェーデン王国検査院(Riksrevisionen)へのヒアリングでは財務検査と業績検査との相違や公会計制度の利用状況等を把握できた。また、地方政府連合へのヒアリングでは、政府間財政関係を踏まえた中央政府と地方政府の予算制度の関連、中央政府の公会計と地方政府の公会計の異同等について把握できた。さらに、ストックホルム大学の学識者へのヒアリングでは、業績評価指標の現状と問題点、近年の議論について概要を把握することができた。 本研究においては、公会計制度や予算制度等の諸制度が、どのような関連を有しているかを強く意識している。平成24年9月のヒアリング調査は、スウェーデンにおいて実務が諸制度に制約されながら、運営されている実態を把握することができ、非常に意義のあるものとなった。 平成24年10月から平成25年3月にかけて、スウェーデン実地調査において入手した資料の検討、ヒアリングを踏まえた補完的資料収集等により、論文執筆を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スウェーデン中央政府の公会計制度と予算制度等の関連に関する論文執筆、日本財政学会での報告についても、順調に予定したとおりに進展しているため。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の知見の整理を意識しつつ、基本的には平成24年度と同じスケジュールで研究をすすめる。4月~8月の事前準備期間での利用資料は、アメリカ連邦政府による『年次報告(Annual Report)』を入手して概要を把握し、United States Department of the Treasury(2006)等を用いて中央政府の公会計制度に関する先行研究史、Allen Shick(2007)を用いて予算制度との関連について整理を行う。 9月に現地でのヒアリング調査を行う。本研究では、公会計制度や予算制度等の諸制度の相互関連を強く留意している。そのため、諸制度に制約されながら、実態(実務)がどのように運営されているかを、ヒアリングを通じて把握する。具体的には、アメリカ財務省へのヒアリングでは公会計制度と予算制度との関連や債務管理手法等を、商務省へのヒアリングでは国民経済計算(SNA)と中央政府公会計制度・地方政府の公会計制度との関連を、会計検査院へのヒアリングでは財務検査と業績検査との相違や公会計制度の利用状況等を把握する。ニューヨーク州へのヒアリングでは、政府間財政関係を踏まえた中央政府と州・地方政府の予算制度の関連、中央政府の公会計と州・地方政府の公会計の異同等について把握する。学識者へのヒアリングでは、業績評価指標の現状と問題点、近年の議論について概要を把握する。議会へのヒアリングでは業績評価指標による統制手法を、公債引受先金融機関等へのヒアリングでは、公表された公会計情報の利用状況等について把握する。連邦制という国家形態にかんがみ、中央政府(連邦)と州政府との権限関係に特に留意する。 帰国後から3月にかけて、実地調査での入手資料の検討、中間報告書の作成、論文執筆を行う。同時に、将来の書籍出版にも備え、未解決の課題を整理しておく。
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次年度の研究費の使用計画 |
国際比較分析という研究の性格上、研究期間(平成24年度、平成25年度、平成26年度)の3年間、毎年度行う海外での実地調査と海外文献調査にかかる費用が研究経費の大部分を占める点に変わりはない。
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