本研究は、まちづくり、環境保全活動、市民活動などに資する住民参加型の質的調査手法を開発することを目的とし、具体的には、(i)市民・住民が行う聞き取り、聞き書き、フィールドワークなどの調査手法開発(市民参加で取り組みやすくまた効果的な質的調査はどうあるべきか)、(ii)収集したデータの市民向け整理法の開発(取り組みやすく効果的な整理法)、(iii)整理した質的データの市民向け活用法の開発(質的データを使ったワークショップなど、まちづくりや市民活動に直結するような質的データの利用法の開発)の3つを進めてきた。(i)については、島根県隠岐郡中ノ島に住む人たちの聞き書きを実践し、また、東日本大震災の被災地である宮城県石巻市北上町における被災者の聞き取り調査を行い、成果を上げることができた。(ii)については中ノ島の聞き書き集(『海士伝2 海士人を育てる――聞き書き 人がつながる島づくり』『海士伝3 海士に根ざす―聞き書き しごとでつながる島』を地元のまちづくり会社と協働で作成するという作業の中で進んだが、一方財政的な問題など課題もいくつか見つかった。(iii)については、2014年12月に各地で聞き書きに取り組む団体とともにシンポジウムを開いて、ある程度の体系化が進んだ。
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