研究課題/領域番号 |
24653121
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
水野 かほる 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (90262922)
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研究分担者 |
高畑 幸 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (50382007)
森 直香 静岡県立大学, 国際関係学部, 講師 (60611829)
坂巻 静佳 静岡県立大学, 国際関係学部, 講師 (10571028)
津田 守 名古屋外国語大学, 現代国際学部, 教授 (50163811)
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キーワード | 法廷通訳 / 司法通訳 |
研究概要 |
1.平成25年度の研究目的及び研究実績報告書 本研究の目的は、司法通訳人の負担軽減という観点から、司法通訳人の就労実態と、通訳人の的確な通訳を可能にする司法手続きの進行方法と日本語運用技術を明らかにすることである。当初の予定では、2年目の平成25年度は、文献調査、研究会の開催に加えて、前年度に実施した量的調査を踏まえたインタビュー調査、日本語の運用技術に焦点をあてた検証実験を行うことを計画していた。 2.研究成果 前年度に引き続き、司法通訳に関する文献調査を広く実施した。要通訳事件の裁判傍聴を行い、司法通訳の実態の理解に努めた。平成24年度に実施した法廷通訳人に対するアンケート調査の結果を先行研究の分析を踏まえて考察し、大学の紀要に研究ノートとして公表した。また、法廷通訳の実態をより詳細に把握するとともに、海外の司法通訳の制度とその運用状況について知見を深めるために、法廷通訳人及び司法通訳の研究者の両者の参加する研究会を開催した。同研究会では、米国、ドイツ及びスペインの現行の司法通訳の制度についての報告を受けて、活発な議論が展開された。アンケート調査を踏まえ、とりわけ法廷における日本語の運用技術に焦点をあてて、法廷通訳人のグループ・インタビュー調査も実施した。本調査では、わかりやすい日本語の言語行動には言語間に共通するものもあれば、必ずしもそうではないものもあることや、発話を区切ったり、随時通訳人に声をかけたりといった、訴訟進行における法廷通訳に対する気配りの重要性などが、改めて明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究実績としては、その研究実施計画に照らして多少実施が遅れている部分もあるが、ほぼ当初の目的を達成できたと考える。以下は、25年度の計画を実施した項目である。 1.平成24年度実施した法廷通訳人に対する量的調査の結果をまとめ、静岡県立大学国際関係学部紀要で報告した。 2.研究会を実施し、法廷通訳の制度や資格認定等についての海外の状況についての勉強をしたり、前年度調査を踏まえて、法廷通訳人に対するグループ・インタビューを行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究実施計画は以下のとおりである。 1.法廷通訳、通訳人の養成、諸国の法廷通訳に関する制度とその運用、日本語の運用技術、民事訴訟法、国際人権法等に関する文献調査を継続的に行う。 2.日本語の運用技術に関しては、分かりやすくて訳しやすい日本語発話の解明のための検証実験を行う。 3.研究成果を論文または書籍の形態で公表するための準備を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度研究費では、予定していた日本語運用技術についての実証実験が実施に至らなかったため、繰越金が生じた。 平成26年度は、日本語運用技術についての実証実験、その他の目的で、繰越金を合わせて以下のように使用する予定である。 (1)調査協力者、及び実験で得たデータの判定のための中国語・韓国語の専門家への謝金。(2)通訳データの文字おこし、入力、集計作業に対する賃金等。(3)関連図書資料の購入。(4)学会・研究会参加のための旅費、交通費。(5)報告書作成費。(6)研究会開催のための諸経費。(7)文具、USB、コピー用紙等消耗品費。(8)通信費。
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