研究課題/領域番号 |
24653124
|
研究機関 | 神田外語大学 |
研究代表者 |
桝本 智子 神田外語大学, 外国語学部, 准教授 (00337750)
|
キーワード | ロスアラモス / 原爆 / 歴史伝承 |
研究概要 |
研究二年目は、ロスアラモス研究所図書館、ニューメキシコ大学などでの資料収集、インタビューのためのネットワーク構築、そして、ロスアラモスでの原爆関連のイベント実施に向けての下準備を目標とした。ロスアラモス・ヒストリーソサエティーのストーバー博士とは渡米時にミーティングを重ね、現在までのヒストリーソサエティーでの原爆をアメリカとは違った視点から見るイベントの試みについてのインタビューと、今後開催の可能性のある題材を話し合った。また、所長であるマクレナハ氏にもインタビューを行い、現在のロスアラモスのコミュニティーとしての原爆の受け止め方についての内情を詳しく聞くことができた。 研究の最終年度の目標としていた、ロスアラモスでの原爆に関するイベント開催という点では、ストーバー博士と話し合いを重ねた結果、原爆関連の映画上映という形で実現を早めることができた。マンハッタンプロジェクトに携わった科学者達の随一の社交場であった歴史的なフーラーロッジにて「はだしのゲン」を上映を実施した。映画の背景の解説を担当し、参加したコミュニティーの人々と議論をする機会を設けることができた。引き続き、ストーバー博士と協力体制を取り、2年後にロスアラモスで広島平和記念資料館から借り受けた展示物を初めて原爆誕生の地であるロスアラモスで展示することを目指している。 また、もう一つの研究目標である「若い世代に伝える」という面では、授業を通して協力要請が可能なニューメキシコ大学の教員を紹介してもらうことができた。今後、直接連絡を取り、最終年度に向けての足がかりを作ることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度の研究調査の結果、科学者へのインタビュー実施がかなり難関であることが判明し、今年度は引き続きできる限りのインタビューと文献調査に切り替えることになった。その結果、もう一つの目的であったロスアラモスでの原爆関連の展示という面では予定よりも順調に進展していると言える。引き続き文献調査とともに、ニューメキシコの若い世代である大学生との原爆についての話し合いを設ける目標に向けても、順調にネットワークが構築できつつある。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度の今年度は、ロスアラモス国立公園の議案が成立するのかどうかを確認し、その後の進展を見る。成立した場合は、どのような歴史伝承の方法をとるのかを聞き取り調査する。また、ニューメキシコにおいて原爆に関連するものの展示と議論の場を設ける機会の設定と実施を目標とする。 Atomic Heritage Foundationが主催する会議に招待されているので、原爆の認識について違う立場のパネリストの意見を検証していく。また、発言者としてヒロシマの歴史認識、ロスアラモスでのディスカッションの結果を紹介していく予定である。ニューメキシコ大学での授業に原爆関連のテーマを取り入れてもらう可能性は、日程などまだ未定である。6月頃までに、協力をしてくれる大学教員と連絡を取り、どのような方法でいつ実施可能かの話し合いを進めていく予定である。授業計画の作成や参考資料の提案などに積極的に参加させてもらう予定である。 ロスアラモス歴史博物館との協力体制も順調ではあるが、平和記念資料館の展示物を借りての原爆展は先方の都合で二年後になる予定である。今年度がこの研究の最終年度であるが、次につながるような基盤を今年度中に作ることを目標とする。ストーバー博士とはミュージアムの歴史展示とその役割・効果についての論文を共同執筆し、学会での発表を目指す。
|