研究課題/領域番号 |
24653125
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
吉原 直樹 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (40240345)
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研究分担者 |
長谷部 弘 東北大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (50164835)
松本 行真 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (60455110)
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キーワード | 震災 / 民衆知 / 民族知 / 伝統文書 / 生活の共同 |
研究概要 |
「研究の目的」で掲げた「地域コミュニティ次元で存在する伝統文書および非文書の口述資料を掘り起し、長年の『生活の共同』に根ざす民衆知/民俗知、とりわけ地震、津波等非日常時におけるそれらの構造を解明する」点については、研究分担者の松本行真の福島県浜通り住民に対するアンケート調査およびヒヤリング結果の分析によって一定程度果たすことができた(松本 2013)。また研究代表者の吉原も、研究分担者の長谷部弘の協力を得て、会津若松市に居住している大熊町民に対して上記テーマに関連するヒヤリングを行い、近々その成果を集約する予定である。同時に、原発爆発による被災が「『生活の共同』に根ざす民衆知/民俗知」の継承を困難にしていることも明らかになった。 なお、上記「研究の目的」では、調査はインドネシアバリ島もフィールドにする予定であったが、実際には現地調査を実施するまでには至らなかった。その代わり、現地研究協力者との協働にもとづく「『生活の共同』に根ざす民衆知/民俗知の<現在性>」の確認を行うことはできた。そういうことで、曲がりなりにも「民衆知/民俗知」のクロスカルチュラルな分析枠組みを提示し、それに基づく成果集約の方向性を示すことはできたといえる(吉原 2013)。 また本研究の遂行過程で、上記テーマに関連する研究者ネットワークができあがり、本研究の裾野が広がるとともに、国際的な共同研究への磁場形成に貢献することになったことは特筆されるべきである。このことは、当初の「研究の目的」からすれば、派生的な成果にとどまるかもしれないが、本研究そのものが未開拓の分野に属することを考えるとその意義はかぎりなく大きいといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内外の二地点をフィールドとする調査研究は、必ずしも共通の調査方法に基づくものではないが、テーマに関するクロスカルチュラルな分析から、検証に耐え得るそれなりの結果を得ることができた。 また本研究によって、より包括的で体系的なクロスカルチュラルな分析への方向性を示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策の基本は、初年度で得た知見の総括と新たな論点の抽出に基づく調査研究の進展にある。同時に、本研究の研究代表者および研究分担者がかかわる今後のさまざまな調査研究に本研究の成果が引き継がれることによって、より多面的で創建的な研究の進展が期待される。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究代表者の本務校での予期せぬ仕事と研究協力者の個人的事情(病気等)が重なり、実施計画の一部を遂行できなかった。 未遂のヒヤリングおよび資料サーベイを遂行するための費用、およびそれらの結果の整理・分析に関連する費用に充てる。
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