研究課題/領域番号 |
24653126
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
後藤 範章 日本大学, 文理学部, 教授 (70205607)
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研究分担者 |
山下 祐介 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (90253369)
柏谷 至 青森大学, 社会学部, 教授 (50316329)
西城戸 誠 法政大学, 人間環境学部, 准教授 (00333584)
山本 薫子 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (70335777)
山本 早苗 富士常葉大学, 環境学部, 講師 (40441175)
菅 磨志保 関西大学, 社会安全学部, 准教授 (60360848)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 広域避難 / 原発事故 / 強制避難 / 自主避難 / 支援 / 生き方モデル / 新しい社会像 |
研究概要 |
①福島県内、②山形県・新潟県・青森県をはじめとする隣・近接エリア、③東京都・埼玉県・神奈川県をはじめとする首都圏、④静岡県・愛知県や大阪府・兵庫県をはじめとする東海・近畿圏、⑤岡山県や福岡県・沖縄県をはじめとする西日本・九州の5つエリア別に研究チームを編成して(各チームとも、研究分担者及び代表者・連携研究者・研究協力者で構成)、原発事故に伴う(狭域及び広域の)避難者並びに避難者を様々な側面からサポートする支援団体を対象とする質的社会調査を実施した。調査は、2011年度から継続しているが、科研費補助金を受けたことで、調査の幅と奥行きが確実に広がり、成果の積み上げが加速度的に促進された。 研究に先だって私たちが類型化(研究調書に記載)した、Iの「強制的(2011年4月に設定された福島第一原発から半径20kmの「警戒区域」を中心とする強制避難区域内からの)避難者」に関しては、福島県富岡町や浪江町などから福島県内及び首都圏への避難者、IIの「準強制的-自主避難者」に関しては、福島県飯舘村や南相馬市・いわき市・郡山市などから福島県外(全国各地)への避難者、IIIの「自主避難者」に関しては、I・II以外の東京圏その他から岡山県や沖縄県などへの避難者を、それぞれ主対象として、詳細なインタビュー調査や参与観察、映像フィールドワークなどを重ねた。また、各地で避難者を受け入れ、サポートしている支援団体・者に関しても、同様の調査を行った。 調査は2013年度も継続するが、避難の経緯や避難先での生活の実態・課題(避難者の生き様)を詳細かつ精確に把握することができた。また、見えにくい避難と支援をめぐる社会的プロセスと構造、さらには研究テーマとする「転換後の社会像と生き方モデル」についても、一定程度以上「可視化・可知化」させることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究に携わっている研究者(研究分担者・連携研究者・研究協力者及び研究代表者)が、福島県、新潟県、山形県、青森県、埼玉県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、大阪府、兵庫県、岡山県、福岡県、沖縄県などなど、全国各地で精力的に質的社会調査を積み重ねた結果、「研究の目的」としている、原発事故の影響を直接・間接に受けて広域の移動を強いられた避難者の動向、避難者と支援者のうちに生じる苦悩や葛藤、そこから見出されるであろう安心や希望の道筋を、質的社会調査を通じて多様な角度から明らかにしていくことに向けて、着実に前進させることができた。 本研究の最終着地点は、この事故からの復興とは何か、「第2の戦後」と言われる事故後の日本社会の転換可能性―新たな社会像と生き方モデル―を、避難者・支援者の反作用/生き様の側から示すことであるが、2012年度の調査研究によってその手応えを確実に掴むことができた。 それらを踏まえ、全般的に当初の計画通り「おおむね順調に進展している」と評価するものである。
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今後の研究の推進方策 |
研究費を用いての各地での調査にはまだ不十分な点が残っている。日々刻々と変化し続ける避難と支援のプロセスを精確に把握し、構造やメカニズムを精緻に解明するには一定程度以上の時間をかける必要もある。 初年度に積み残した課題を含めて、研究最終年でもある2013年度には、前半で各地での追加・補充調査を実施し、後半で研究プロジェクト全体の成果をとりまとめて公表し(個別の成果発表は既に相当数に及んでいる)、本プロジェクトを閉じることになる。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年度の研究費は主に、①初年度に得た研究データの整理・加工・分析、②各地での追加・補充調査の実施、③研究会の開催と研究成果のとりまとめ、に使用する計画である。
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