2014年夏にブルックリン市およびバークレイ市で実施した質問紙による調査結果を分析し、「ペットフレンドリーなコミュニティ」を大都市の文脈から論じることができた。 本研究において試論として位置付ける、コミュニティ疫学では、社会学的な調査手法である地域調査と、疫学的な調査を地域レベルと併用し、PCR分析というDNAレベルでの分析を絡めながら、ペットフレンドーなコミュニティの条件を、実証的に明らかにすることができた。また、疫学研究の大きな長所である国際比較を行い、試論としての成果を提出する。 犬を飼育しやすい地域のイメージについて、「広い空間や公園がある」という回答が最も多く、その他わずかな回答として「ペット友人が近くにいる」、「動物病院が近い」、「ペット関連の店舗が近くにある」があった。また、「飼育に必要な施設」と「ペットフレンドリーなコミュニティのイメージ」は、大きく異なっている。 飼育に必要な施設としては、「公園」という回答が最も多く68%であり、「動物病院」は24%であった。この両者については飼い犬の犬齢によって説明された。「動物病院」は犬齢の高い飼い主による回答であった。一方で、「ペットフレンドリーなコミュニティのイメージ」は圧倒的に「公園」83%と回答されている。「ペット友人が近くに住んでいる」はわずか7%であった。本報告では「飼い主」と「公園」および「ペット友人」をネットワークと考える。 「ペットフレンドリーなコミュニティ」が飼い犬を中心として、ペットと共生できる街を提案する意義は大きいと考える。そこでは下位文化による結合が、「相談」「親交」「実用的」のいずれにも収斂しえない、住民の「ペットフレンドリーなコミュニティにおけるシビリティ」が想定されるだろう。まだ試論の域を出ていないが、「ペットフレンドリーなコミュニティ」モデルを提示した。
|