平成27年度は、平成26年度に実施できなかった第2次海外調査をベトナムで実施した。 平成25年に実施した第1次海外調査はベトナムの首都であるハノイ市近郊で実施したが、今回はホーチミン市近郊で調査を実施することができた。日本でもベトナムからの研修生(縫製工場)を対象に調査を実施し、海外調査結果の補強と信頼性を高めることができた。ベトナム研修生については、前もってアンケートを作成し、通訳を通して聞き取調査をした。また、同じアンケート内容で、ベトナムからの留学生(大学生)にアンケート調査を行った。日本の被服系短期大学生や普通科の高校生についても同様のアンケート調査を実施した。これは、同世代の日本人の職業意識等とベトナム人を比較検討することを目的として実施した。調査方法は、職業意識を問うために直接ヒアリングすることが難しいことに配慮して、アンケート調査を実施した。アンケートは、本研究の趣旨に沿った内容のアンケート用紙を作成し、その用紙を回答者に配布し、その場で自記式回答を行った。 この文献調査、聞き取り調査、アンケート調査を分析した結果、日本の繊維産業興隆期の女性労働者は労働に不満を持っていないこと、貧困な生活環境から抜け出すことができ、十分な食事が得られ、給金がもらえるという理由が労働力を高めていること、就学が高くなると労働への目的が明確になり、社内教育に参加し、生活に必要な教養を学ぶ時間が多くなっていることが分った。現在、繊維産業興隆期を迎えているベトナム人の女性労働者は、就学歴が高い傾向にあるが、明確な労働意識は、中国人労働者の方がはっきりしている。日本の被服系短大生は、服飾に興味があるということで、短大に進学しているが、仕事として活かすのではなく、教養として考えている傾向にあることが分かった。これらの結果を踏まえ、今後の被服系短期大生の進路指導に役立てることができると考える。
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