イギリスMental Capacity Act2005行動指針及びIMCAサービスに関する動向について資料収集を行い、ベスト・インタレスト(最善の利益)を判断するためのアセスメント項目試案作成に参考になる情報を抽出した。 2010年8月の訪問調査で協力を得た現地の協力者に、訪問調査時に調査対象とした組織・機関を中心に、ベスト・インタレスト(最善の利益)を見出す取り組み、IMCAの研修プログラム、IMCAの実践例、IMCAに関する報告書等の2010年8月以降の動向に関する調査と資料収集、レビューの作成を依頼した。収集した資料は全17点である。資料の全容はA4用紙1500枚ほどの膨大なものであり、全てを精査するのは難しかったが、現地協力者作成のレビューを手掛かりに、最善の利益を見出すためのアセスメント項目として参考になる資料を抽出した。 その結果、医学面、感情面、福祉/社会面からメリットとデメリットを評価するバランスシート原理、MCA2005のベスト・インタレストチェックリストに基づく検証、「住居決定とケア検討へのIMCAの関与」ガイダンス及びIMCA報告書を書くための最善の実践ガイダンスが実際的であり、わが国の成年後見活動にも活用できることがわかった。また、社会福祉士への聴き取り調査で抽出した後見活動の方針となる判断根拠は、アセスメント項目としても機能することが確認できた。しかし、個人の判断のレベルに留まっていることから、アセスメント項目としてチェックリスト化し、共通言語とすることが今後の課題である。 結果は、東海大学健康科学部紀要第19号に「Mental Capacity Act2005におけるベスト・インタレスト決定過程-わが国の成年後見活動への活用の可能性-」として発表した。
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