研究課題/領域番号 |
24653149
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 中部学院大学 |
研究代表者 |
後藤 真澄 中部学院大学, 人間福祉学部, 教授 (70301710)
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研究分担者 |
包 敏 広島国際大学, 医療福祉学部, 准教授 (00352013)
三上 章允 中部学院大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40027503)
塚本 利幸 福井県立大学, 看護福祉学部, 准教授 (40315841)
酒井 美和 関西福祉科学大学, 社会福祉学部, 助教 (70454436)
小林 明子 福井県立大学, 看護福祉学部, 教授 (80291970)
森田 直子 中部学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (80434520)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 看取り / 終末期ケア / 高齢者施設 / 東アジア / 介護従事者 |
研究概要 |
中国調査では、施設の視察を行った。 老年護理医院は医療、介護、生活上のケアを含めるシステム的サービス機能を持つ高齢者介護病院で、家庭内で介護を受けられない高齢者が治療を受け、最期を看取る施設である。蘇州福星護理院は、認知症や末期癌、術後の管理を必要とする人等で長期間生活の自立が困難な患者を中心に入所させている。安寧ケアのガイドラインを医療職で作成している。葬儀場の支部を作ることも考えている。心園護理院では、看取りケアの定義は、末期の病気で治療の見込みがなく、ADLの自立ができない人を最後まで見送る。9割がこの施設で看取りを希望する。中国では死亡診断書を医師が書くという義務がなく、医師にかからずに亡くなる人もおり、医師の手にかかり看取ることが最善の事という認識である。 台湾調査では仁恵護理之家と在宅介護事業所への視察を行った。台湾では在宅ケアが圧倒的に多い。病院は可能な限り、在宅を進める医療ニーズのある在宅支援を、独立型訪問看護事業所と病院のチーム型訪問看護が実施し、死後のケアも看護師と介護士で行う。在宅ケアでは、比較的費用の安い外国人労働者が介護に従事し、家族(雇用主)とのトラブルも少なくない。今後は、死亡診断書の関係についても調べる必要がある。 韓国調査では釜山2つの高齢者施設と緩和ケア病棟の視察を行った。介護保険に関連する施設はユニットケアを取り入れている。終末期ケアを希望すればできる。この施設専属のクリニックを持っており、そこで治療も行われる。医師の死亡判断が必要なため、医師が常駐しないと看取りは難しい。最近は家族も施設での看取りを望む傾向にある。家族の経済的負担もあり、管を入れなければならない疑問が多い。和ケア病棟では、死亡すると地下が葬儀場になっており、そこで葬儀を済ませることもできる。韓国では在宅でのケアが難しく病院死が増加しつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第1回目の高齢者施設管理者等のインタビューが終了し、施設での看取りケアの実態と課題について把握でき、施設の看取りケアの外観をとらえることができた。しかし、職員のインタビュー等は、未だ行えておらす、今後職員へのインタビューをし、看取りについてどのようなケアの基準があり、どのようなケアを心がけているか、ケア内容や実践の方法について事例を基に調査する予定である。 また、職員の看取り観についての意識調査をする予定であり、その関係作りがなんとか出来て調査が可能な状況になっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究計画は、日本を含む東アジアの国々(中国、韓国、台湾)介護従事者や看護従事者の看取り観、死生観を明らかにする。そのために各国の高齢者施設の職員(医師、看護師、介護士)への意識調査を各200人ほど行う予定をしている。 そしてその結果を統計的に処理し、死生観と看取り観の関係にどのような要因があるかを明らかにする。 また、職員にもインタビューし、実際の看取りケアの実践を語ってもらい、ケア内容やケア基準を明らかにする。そして看取りケアを阻む要因と促進する因子を明らかにする
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は、各訪問による交通費のほか、インタビューやアンケートの協力における謝礼等、また通訳による人件費等に活用する予定である。アンケート調査では入力や作業に伴う人件費等に使用する。 また、研究者が全国に散らばっている関係上、研究会を行う上での交通費等もかかるので、国内移動の交通費にも活用する。
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