研究概要 |
平成25年度の研究は,①愛知県T町地域在住の65歳以上非要介護高齢者を対象とした悉皆調査の実施,②同町における既存データを活用した分析による研究を行うことなどであった. 主な結果として,①高齢者悉皆調査では,7,901名中6,157名の回収率77.9%で高い回収率であった.②既存データを活用した分析では,介護予防事業運営ボランティア52名における2年間の認知機能と社会活動の変化では,認知機能低下群は, MMSE, 連続計算, 文字位置照合課題, 認知機能正常群では文字位置照合課題でそれぞれ有意な得点上昇があった. ボランティア活動をきっかけに社会参加や社会活動が増加し, 認知機能のコミュニケーション向上と社会的認知機能の活発化が注意機能の改善に関与したと考えられた. また,予備的分析では,非要介護高齢者でADL自立の2,490人をサロン開所の2007年5月以降2012年3月まで追跡し,要介護認定発生とサロン参加有無及び参加回数との関連をコックス比例ハザードモデルで分析した.その結果,要介護認定発生は,サロン参加群521人中50人(9.6%),非参加群1,969人中275人(14.0%)でサロン非参加群が参加群の1.5倍多かった.ハザード比でみると参加「1回以下」を参照値1とした場合,サロン参加2~5回が0.53,6~20回が0.39,21回以上が0.32でサロン参加回数が多いほど要介護認定発生の確率が低いことが確認できた.
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