環境色彩が人間の心理・行動に影響を与える上で、積極的な快適性であるプレザントネスの喚起が鍵を握ることを検証するため、実験室実験、質問紙実験、実地調査を行った。色照明下で推論課題や計算課題を行わせた一連の実験では、色による課題成績への影響は見られなかった。色嗜好特性という切り口からプレザントネス感受性の個人差を検討した質問紙研究では、黒嗜好・紫嗜好とプレザントネス感受性との関連が見出された。国外の実地調査ではプレザントネスを伴う特異な環境色彩事例が収集され、我が国における適用可能性が示唆された。今後、この成果をフィールド実験に展開することで、効果的な環境色彩の導入・普及に繋げていけよう。
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