研究概要 |
当該申請研究の目的は、リーダーの職階が上昇するにつれて質的に変化するリーダーシップ機能の発達に焦点を当て、リーダー・アイデンティティの発達モデルを構築し、そのモデルの実証を試みることである。平成25年度は、まず一昨年度行われたリーダーの多水準自己概念測定尺度に関する予備調査の結果を、日本心理学会第77回大会において「多水準自己概念尺度に関する研究」(発表者:田中堅一郎・宮入小夜子)として発表した。 また、平成25年度には、一昨年度(平成24年度)に作成された多水準自己概念尺度を用いて、リーダーの自己概念がリーダー行動に及ぼす影響を検討するために、職場や組織のリーダー(管理職者)として働く人々を対象としたインターネットによる調査を行い、800名からの回答を得た。分析の結果、リーダーの自己概念測定尺度の得点が個人水準、関係水準、集合水準ともに高いときに変革型リーダーシップが行われやすく、関係水準と集合水準が高いときに支援的リーダーシップが行われやすかった。また、個人水準のみ高いリーダーは、部下に対して侮辱的な行為を行いやすかった。分析の結果から、リーダーの自己概念が複数の水準とも高いときに適正なリーダー行動がなされることが示された。 さらに、最新の関連文献を調査し、リーダーの自己概念の有り様がリーダー行動に及ぼす影響に関する先行研究を展望し、その成果の一部を論文(「リーダーの自己概念からみたリーダーシップ研究の動向」)として投稿し、掲載された(立教大学心理学研究, 第56号)。
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