研究課題/領域番号 |
24653171
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研究機関 | 東北福祉大学 |
研究代表者 |
藤井 俊勝 東北福祉大学, 健康科学部, 教授 (70271913)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 発達障害 |
研究概要 |
本年度の研究では、まず実験に用いる刺激の作成・標準化を行った。刺激としてトリビアを収集し、刺激の性質に関する複数の項目について評定を行った。評定値をもとに、情報源記憶と伝達先記憶の実験に利用可能な複数の刺激リストを作成した。 これらの刺激リストと、実験参加者にとって未知の男性顔写真・女性顔写真を用いて予備実験を施行したところ、床効果が確認された。未知相貌を用いた課題の難易度が高いと思われたため、実験参加者にとって既知の顔である有名人の顔写真に刺激を変更することとした。有名人の顔写真を収集し、トリビア同様に評定を行い、それぞれの実験課題に利用可能な複数の刺激リストを作成した。 上記の有名人の顔写真を用いて、新たに予備実験を行ったところ、自閉症者を対象として情報源記憶と伝達先記憶のパフォーマンスの評価が十分に可能であることが確認された。また、健常対照群における課題成績が、伝達先記憶の先行研究であるGopieら(2009, Psychological Science)のものと同等の成績であることも確認されたため、この課題を本実験で利用する課題とした。 現在までに、本実験における健常対照群におけるデータ取得をほぼ終えている。データの詳細については、これから解析を進める予定である。また、自閉症者のデータについても、リクルート手続きを進めており、間もなくデータ取得を開始する準備が整いつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究では、予備実験の成績をもとに課題条件に若干の修正を加える必要が生じたが、実験に用いる全ての刺激について、評定によって統制された刺激リストの作成が完了した。その後の予備実験の結果も本実験に速やかに移行できる結果が得られたため、実験課題の作成は既に完成している。健常対照群のデータもほぼ取得が終わり、自閉症者を対象としたデータ取得も準備が進んでいるため、今後はデータの取得と解析へと進められる状態にある。当初の予定通り、順調に研究が進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、まず自閉症者を対象としたデータの収集を進める。自閉症者における情報源記憶と伝達先記憶に関する実験を施行し、健常対照群と比べ、記憶成績に有意な差が認められるかどうかを調べることが中心となる。 研究全体で必要なデータ取得は、可能な限り早めに、今年度の前半を目途に完了する。データ取得後は速やかに解析を進め、自閉症者における情報源記憶と伝達先記憶の障害の有無と、障害があった場合にはその特徴を明らかにする。得られた知見については、学会発表や論文への執筆作業を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度はデータ解析のためのパソコンや、統計検定等に必要となるソフトウェアの購入のために研究費を使用する。また、研究成果についての学会発表、及び情報収集のための旅費として使用する。また、英語論文執筆の際の英文校正費用、論文の投稿・出版にかかわる費用に対して、研究費を使用する。
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