研究課題/領域番号 |
24653184
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
勝見 吉彰 県立広島大学, 保健福祉学部, 准教授 (90274141)
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キーワード | 再婚家庭 / 親子関係 |
研究概要 |
平成25年度には,再婚家庭での被養育経験のある者に対する面接調査ならびに離婚家庭,再婚家庭に関する予備的な質問紙調査を行なった。 面接調査は20代の男性,女性合わせて4名に対して行なわれた。再婚家庭に特有の家族関係ならびにそこに育つ子どもの特有の内的体験について抽出することが目的であったが,欧米各国での先行研究との共通点と異なる点とが幾つか明らかになったと考えられる。ごく少数の面接調査によるものなので,一般化は現時点では難しいが,子どもの男女差によって新しい継親との関係の構築の困難さに違いがあるような傾向が見られた。この点は今後の研究で明らかにしていく必要がある。また,再婚することの肯定的な影響について,再婚によって実親が精神的に安定することで家庭が安定するという点,そして経済的に安定すること,自分が負担していた家事を新しい親が分担してくれるということなどの実際的な事柄を挙げる被調査者が多くいた。これまでの面接調査で示唆されたこととしては,死去や別離で不在となった実親との関係を何らかの形で整理しておくことがその後の新しい家庭環境で適応していくことに大いに影響を及ぼす可能性があるということが挙げられる。この点はこれまでの研究ではほとんど触れられてこなかった点である。 質問紙調査では,前年度に引き続き一般の大学生を対象に離婚家庭ならびに再婚家庭に関する態度や認知度を問う調査を行なった。被調査者の家族が離婚家庭である割合が高く,そうではない被調査者との間での態度の差異が幾つか明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度のおける本研究の目的の達成度はやや遅れていると評価される。実施予定であった再婚家庭での被養育経験のある者に対する面接調査,ならびに継父,継母として子どもを養育する体験のある者に対する面接が想定していた必要数を満たしていないことが大きく影響している。面接調査対象者が十分確保できなかったのは,面接調査への協力要請を拒否するものが予想よりも多かったためである。研究の目的や社会的意義の説明を十分行なったつもりであったが,不十分であったのかもしれない。取り扱うテーマが非常に個人的な内容であり,抵抗をおぼえる場合が多いことは予想されたが,その見積りが甘かった部分はあると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は再婚家庭での被養育経験のある者に対する面接調査を継続して,再婚家庭での養育経験のある者の体験の質的特徴を抽出していく。その後,再婚家庭の親子関係に特徴的な傾向を測定する尺度の作成を目指す。平成25年度に予定されていた作業を進めていく過程で,面接調査への協力を依頼しても拒否されるケースが予想よりもかなり多かったことへの対応をさらに検討することで,必要とされるだけの面接調査の対象者数を確保したい。被調査者を募るための場を大幅に拡大していくことが必要であり,他大学等の研究者に被調査者を獲得するための協力を求めていくことが必要だと考えられる。これは再婚家庭における養育者に対する面接調査に関しても同様であり,調査協力者の確保のための努力を強力に進めていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
これまでの研究で得られた知見を2013年度内にまとめて学会等で報告することができなかったため,旅費が想定よりも少額となった。また,面接調査協力者が謝金の受け取りを拒否する場合が多かったこと,面接協力者が予定していた数だけ確保できなかったことなどから想定していた額ほど謝金を必要としなかった。 これまでの研究成果を2014年の家族心理学会で報告予定であるため,そのための旅費が必要である。面接調査協力者に対して支払う謝金が必要である。質問紙調査を実施するための通信費,交通費,紙類その他が必要となる。
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