研究課題/領域番号 |
24653188
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
堀 匡 東北大学, 学内共同利用施設等, 助教 (70512565)
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研究分担者 |
齋藤 未紀子 東北大学, 学内共同利用施設等, 助手 (20622062)
佐藤 静香 東北大学, 学内共同利用施設等, 助手 (30344641)
池田 忠義 東北大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (70333763)
吉武 清實 東北大学, 学内共同利用施設等, 教授 (80111243)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 東日本大震災 / 学生相談 / 大学コミュニティ支援 |
研究概要 |
研究1:東日本大震災後1年間の学生相談所における支援活動について,第一次支援(相談所来談者への支援),第二次支援(震災の影響を強く受けた学生),第三次支援(それ以外の学生,教職員),スタッフ間相互支援というを四つの観点から,各水準における支援活動についてまとめ,その意義と課題について検討した。第一次支援においては,震災直後と半年以降の来談者の抱える問題の性質の違いや対応のポイントが整理された。第二次支援においては,PTSDハイリスク群への対応の工夫として,日常に近い文脈で,気軽に不調を表現できる機会を提供することや時期に応じたストレスへの対処の仕方に関する情報の提供の重要性が示唆された。第三次支援においては,予防教育の重要性と学生や教職員の参加率を高める取り組みの必要性が明らかとなった。スタッフ間相互支援については,定期的なスタッフ間の情報共有が,活動方針の混乱を防ぐとともに,スタッフの燃えつきを防止する効果があることが示唆された。 研究2:平成24年度の全学生調査の結果に基づき抽出されたPTSDハイリスク群の学生に対して,震災後のストレスが長びくときの特徴と震災の影響の長期化を防ぐための対処行動についてまとめたリーフレットを配布し,その効果の検討と意見収集を行った。その結果,リーフレットによる情報提供は,主に震災の長期的影響に関する心理教育的効果と自己の状態に気を配ることへの注意喚起の効果があったことが示唆された。 研究3:学生支援に関わる教員が,震災後に学生相談所に求める支援ニーズについて調査を行った。その結果,学生へのカウンセリングの実施や学生対応のコンサルテーションなど,相談活動へのニーズが高いことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は,当初の研究計画通りに研究課題を実施することができたことから,おおむね研究は順調に進んでいると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
まず,平成24年度の支援活動をまとめ,その意義と課題について検討する。そのうえで,本年度の活動方針を定め,支援活動を実践し,実践内容を記述していく。最終的には,震災発生から過去3年間の大学コミュニティ支援活動をまとめ,学生相談という観点から,震災発生初期~中期において大学コミュニティで起こりうる様々な問題と,第一次支援,第二次支援,第三次支援,スタッフ間相互支援という各水準の様々な支援のあり方について整理し,一つの支援モデルとして提示する。 なお,平成24年度に実施した学生支援にかかわる教職員を対象とした調査においては,対象者の少なさから,研究結果の一般化が難しいという課題が挙げられた。今年度は改善策として,可能な範囲で対象を広げた調査の実施を検討している。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の使用額は,今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり,平成25年度請求額とあわせ,平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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