研究課題/領域番号 |
24653189
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山中 克夫 筑波大学, 人間系, 准教授 (50282314)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | cognitive stimulation / CST / シングルブラインド / ITT analysis / 比較統制試験 / 認知機能 / QOL |
研究概要 |
cognitive stimulationの代表なプログラムであるCognitive Stimulation Therapy (CST)は,認知症高齢者を対象とする医療・介護現場で実施可能な集団心理療法である。これは,参加者とスタッフがともに楽しみながら,認知機能に加え,QOLや社会的機能の改善を目指した介入プログラムである。 これまで,CSTの日本版(CST-J)を開発し,その効果について,シングルブラインドの評価により予備的な検証を行ってきたが,本年度は,適切なサンプルサイズに至るまでデータ収集を行い,intention-to-treat analysisを用いた比較統制試験によって効果の検証を行った。結果については,Aging & Mental Healthに掲載された。主要な成果としては,介入期間を通じ,介入群(CST-Jを週に2回,7週間実施)は,統制群(普段通りの生活)に比べ,認知機能,QOL(介護職員の評定による),気分(本人および介護職員の評定)について有意に改善していることが明らかにされた。現在,下位機能ごとの効果の検証について詳細な分析を行っているところである。 また,本年度は,CSTの維持セッションであるMaintenance CSTの日本版(MCST-J)についてもデータ収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目標は,まず,開発した日本版(CST-J)について,シングルブラインドによる評価,intention-to-treat analysisによって効果の検証を行い,その成果について国際誌に投稿することであったが,この点については達成された。もう一つの目標である下位機能ごとの効果の検証に関しては,現在,分析を継続中である。ただし,MCST-Jについてデータ収集ができた点を含めると,本年度は予定以上の成果が得られたとも考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では,まず,CST-Jについて,下位機能ごとの効果の検証に関する分析を終了し投稿を行う。同時に,CST-Jに参加した認知症高齢者の質的変化に関する研究を行う。ここでは,本人,家族,施設により承諾の得られたグループホームに居住する認知症高齢者について, CST-Jのプログラムを実施し,活動中,活動以外の生活面における質的変化に関する観察・調査研究を行う。この研究では,参与観察,ビデオ分析,職員への半構造化面接によるインタビュー調査が中心となる。より具体的には,活動に積極的にかかわるようになったか,活動についてある程度定期的な生活の予定として認識できるようになったか,そのことで日常での発言や行動がどのように変わったかなどについて分析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
課題作成に関わる資料や材料などの物品費として約70千円が必要である。また,国内学会において情報収集・成果発表を行うため,旅費が約100千円必要となる。加えて,観察評価者への謝金,知識提供者への謝金,研究補助・資料整理を行うアルバイトの人件費として約300千円が必要となる。その他,英文校閲,交通費(打ち合わせ等)として,約200千円が必要とされる。
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