研究課題/領域番号 |
24653196
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
上野 徳美 大分大学, 医学部, 教授 (50144788)
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研究分担者 |
山本 義史 日本文理大学, 経営経済学部, 教授 (60230596)
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キーワード | バーンアウト / 抑うつ / 介入 / 予防 / 看護師 |
研究概要 |
前年度の継続研究として、25年度も病院の新人および若手看護師を対象にバーンアウトの予防と介入に関する縦断的調査と短期介入研究を実施した。新人看護師を対象とした介入研究では、アサーションスキルとアサーティブな態度が研修・トレーニングによってどのように変化するかを評価・調査した。また、入職時のストレス対処能力(首尾一貫感覚)や自尊感情がその後のバーンアウトや抑うつ傾向にどのように影響するかを縦断的に調査した。さらに本年度は、入職後3年を経過した若手看護師を対象に調査を行い、入職時から3年間の間にバーンアウトや抑うつ傾向、相互性、離職状況がどのように変容しているかを縦断的に分析した。 アサーション・トレーニングの研究の結果から、短期間の研修・トレーニングによって新人看護師のアサーティブな態度やスキルが向上しうることや、ノンアサーティブな行動が抑制されることが示された。また、入職時の新人の首尾一貫感覚と自尊感情が一定期間後(数ヶ月、8ヵ月後)のバーンアウトや抑うつ傾向を軽減しうること、とりわけ首尾一貫感覚がストレス抵抗資源や対処能力として重要な役割を果たしていることが明らかになった。さらに、若手看護師を対象にした3年間の縦断調査の結果から、情緒的消耗感や離職意図は最初の約1年間にピークを迎えるが、その後はそれ以上強まらない、脱人格化は時間経過と共に高まる傾向がある、抑うつ傾向は有意な変化が見られないことなどが示された。このような研究結果は、新人や若手看護師への早期の研修と心理教育、支援介入プログラムの必要性と有用性を強く示唆するものである。 以上の研究結果について協力を得た看護部に報告するとともに、日本健康心理学会や九州心理学会において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度までに実施を予定していた介入研究と縦断研究の計画の9割以上が達成されているため。
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今後の研究の推進方策 |
26年度は一部未達成の介入研究を実施するとともに、心理学関連学会で研究発表を行い、バーンアウト予防と回復のための介入法と支援プログラムを考案する予定である。 そして、最終年度としての研究のまとめを行いたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究課題の進行が当初の計画よりわずかに遅れていることなどにより、次年度使用額が生じた。 26年度経費と合わせて、当初の研究計画を実施、遂行するために使用する予定である。
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