研究課題/領域番号 |
24653196
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
上野 徳美 大分大学, 医学部, 教授 (50144788)
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研究分担者 |
山本 義史 日本文理大学, 経営経済学部, 教授 (60230596)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | バーンアウト / 抑うつ / 離職意図 / 支援介入法 / 看護師 / 縦断研究 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、25年度に行った研究をさらに継続、発展させて、新人及び若手看護師のバーンアウト予防と支援介入法に関わる縦断研究と長期縦断調査を行った。 1つは、入職時における新人看護師の有するストレス対処能力としての首尾一貫感覚(SOC)と自尊感情(SE)が、入職時から1年半後のバーンアウトや抑うつ、離職意図の軽減や緩和に及ぼす長期的な影響力について検討した。このような分析によって燃え尽き予防とストレス対処能力向上のための支援介入法に有用な知見と示唆が得られると考えた。その結果、SOCは1年半後の情緒的消耗感と抑うつの軽減に、SEは 1年半後の抑うつと離職意図の軽減にそれぞれ寄与していた。また、SEの影響を統制したSOCの予測力とSOCの影響を統制したSEの予測力を分析した結果、SEよりもSOCの方が燃え尽きの緩和に寄与していた。SOCやSEの向上を図る支援介入法やストレス対処法の習得が,新人看護師等の燃え尽き緩和に有用であることが示唆された。 また、入職時から3年間の長期に渡る縦断調査を通じ、いわば新人の「第1の離職ピーク」を越えて在職している若手看護師を対象にして、バーンアウトや抑うつ、離職意図の変化を在職者と退職者との間で比較した。その結果、入職初期の数ヶ月の段階で、退職した者は在職者に比べて、情緒的消耗感や脱人格化、抑うつの変化の幅が有意に大きかった。これは、在職者よりも退職者の方が入職に伴う環境変化やリアリティ・ショックの影響をより強くを受けやすいためと考えられる。言い換えれば、新人看護師に対する最初数ヵ月間の支援や指導、新人研修(心理教育など)がきわめて重要であること、またそのことがバーンアウトや離職予防につながることが示唆された。 以上の研究成果については、日本心理学会や九州心理学会において報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
26年度までに予定していた縦断研究や長期縦断調査の計画がほぼ達成されているため。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画はほぼ達成されたので、これまで得られた主な研究成果をまとめて今年度早期に報告書(冊子体)を印刷する計画である。また、未発表の研究成果もあり、それを今年度の心理学関連学会などで発表する予定である。 さらに、対人援助職のバーンアウト予防と支援介入については、これからも発展的に研究を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題の実施と進行が当初の計画よりわずかに遅れていることなどにより、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究成果報告書(冊子体)の作成、印刷、学会発表などを行うために使用する予定である。
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