研究課題
本研究は、心拍変動バイオフィードバック法(以下、HRV-BF)における臨床的効果の機序を睡眠中の休息機能の面から明らかにすることを目的とした。平成24年度はHRV-BFを就寝前に実施した際、それに続く睡眠中の心肺系休息機能が増大するかどうかを検討するためにHRV-BF群、自律訓練群、コントロール(無処置)群を設定した。睡眠中の脈拍間隔変動(心拍変動)の高周波成分(呼吸性不整脈)の振幅を比較したところ、自律訓練群やコントロール群では変化がみられなかったにもかかわらずHRV-BF群は有意に増加した。この際、就寝前の状態不安尺度はHRV-BF群と自律訓練群において有意に低下した。本実験結果からHRV-BF法が就寝前の不安を低下させるとともに、睡眠中の休息機能を高める可能性のあることが示唆された。25年度は、本研究結果(平成24年度の検討結果)を踏まえた上で、米国のHRV-BFの開発者(研究協力者)を招聘し、今後の研究の可能性(HRV-BFの効率的な実施法や心理療法への応用の可能性など)について討論した。また、バイオフィードバック研究を中心とする研究者の間でシンポジウムを開催し、今後のHRV-BFの臨床応用の方向性について討論した。なお、H24年度の研究成果は『Applied Psychophysiology and Biofeedback』誌に公表し、H25年度のシンポジウムに関する内容は『バイオフィードバック研究』誌にて発表した。HRV-BFの臨床的な応用については、実際的に睡眠中休息機能の増加をひとつの目標とした上で、就寝前のHRV-BFの効果が十分に発揮されるようHRV-BFの手順をプログラム化(フィーバック方式と訓練時間の改善を実施)し、検討を継続している。この研究結果については、本年6月のバイオフィードバック学会において発表予定である。
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バイオフィードバック研究
巻: 41 ページ: 5-10
巻: 40 ページ: 41-48
Applied Psychophysiology and Biofeedback
巻: 38 ページ: 265-271.
10.1007/s10484-013-9232-7