研究課題/領域番号 |
24653203
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
奥野 洋子 近畿大学, 社会学部, 講師 (50304704)
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キーワード | 自己成長 / 対人援助職 / ストレス / バーンアウト |
研究概要 |
当研究は、対人援助職における自己成長に関する実証的研究であり、促進する支援プログラムの開発を目指す基礎的研究である。看護・介護職、教員などの対人援助職は、対人援助行為や職務に伴うストレスが強くかかるため、心身の不調、休職・離職の多さが問題となっている。しかしその一方、対人援助行為ではやりがい、充実感、対人援助職としての自己成長を実感できる物である。対人援助職としての自己成長は、対人援助行為を実施することによるポジティブな心的変化であり、自己成長を実感できることは対人援助職の離職予防、心身の健康の維持につながると考えられる。 2013年度は、看護職を対象とした調査研究の一部を発表した。その結果の概要は以下の点である。①看護職経験年数による自己成長感、バーンアウトの差を分析したところ、経験年数10年以下の人に比べて経験年数11年以上の人は、自己成長感が高く、患者に関連したバーンアウトが低かった。②自己成長感とバーンアウトに影響を与える要因について検討したところ、経験年数の違いによって、自己成長感とバーンアウトを促進する要因は異なって,おり、自己成長感には、ストレスへの強さ、職務特性、ストレッサー、職場でのソーシャルサポートなどの要因が関わっていた。③仕事上のストレス体験と1年後の自己成長感との関連について検討したところ、周囲の状況に対してコントロールできると考える性格傾向、看護職の経験年数が浅いこと、仕事上のストレス体験が多かったこと、仕事を自分のペースでできていたこと、働きがいを感じていたことが、1年後の自己成長感を高めていた。 また、看護職を対象に実施した面接調査についての分析、介入研究の計画の再検討、教員のバーンアウト・メンタルヘルスに関する論文の執筆を行った。2014年度に開催される学会などにおいて研究成果を発表の予定にしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2012年度以前に実施した、当研究に関連した研究の論文執筆に時間を要したため、全体の研究が当初の計画より遅れた。看護職を対象に行った面接調査の分析を進め、介入研究の準備を行った。
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今後の研究の推進方策 |
2014年度は、対人援助職の体験を自己内省し、他者に語ることによる、自己成長感への促進効果に関する介入研究を実施する。看護師を対象に協力者を募集する。自己内省して他者に語る介入手法は、内観療法を応用したプログラムを作成し、認知行動療法の手法を取り入れたプログラム、リラクセーションの手法を取り入れたプログラムを加えた3種類のプログラムの効果の違いを検討する。効果測定の指標として、自己成長感(PTGI-J)、バーンアウト、ストレッサーなどの質問紙尺度を用いる。 これらの研究を実施するにあたり、臨床心理学、健康心理学、精神医学、公衆衛生学などの専門家に、介入プログラムの内容への助言などを仰ぐことを考えている。 これまでの研究成果について、学会発表、論文執筆を行う予定にしている。
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次年度の研究費の使用計画 |
2、3月のアルバイト料金分が次年度使用分と繰り越しになった。 2014年度は、介入研究実施にかかわる物品と費用、研究補助と入力作業のアルバイト料などへの使用を予定している。
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