研究課題/領域番号 |
24653207
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 別府大学短期大学部 |
研究代表者 |
飯田 法子 別府大学短期大学部, その他部局等, 講師 (10612145)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 母親自身の発達障害 / 高機能広汎性発達障害 / 児童虐待の予防 / 子育て支援 / 父親への支援 / ビデオ観察法 / 相互扶助力 / プログラム開発 |
研究概要 |
本研究の対象者は「母親自身に発達障害がみられる家族」である。ビデオ観察法を通して子育て支援プログラムを開発することを目的としており、特に父親への支援を検証する点で他のプログラムとは一線を画している。 対象の家族の選定は、24年度の研究の最大の課題であり目標でもあったが、予定通りに終えることができた。対象者を募る目的で大学構内で実施した「パパ育児応援講座」(子ども・父親・母親など一般向けとして開催した講座)を計画に基づいて実施し、選定することができたものある。この結果は、パパ育児講座の内容が実践的で楽しいものであり、講義を通して父親参加型育児へのモチベーションが上がったことや、後半に積極的な研究の説明を行ったことが功を奏したものと推察された。当初3~5名の対象者を目標の数値と考えていたが、3家族から協力への承諾を得ることができた。また、ビデオ撮影には協力できないものの、プログラムの限界に関する調査に応じたいと表明した2家族を含めると、5家族の協力への承諾が得られ、当初の目標の上限を達成するに至った。 プログラムの作成に関しても、計画通りに進んでいる。作成の手順としては、プログラム案1を健常の夫婦の家族に実施し、研究協力者、連盟研究者らとともに修正を加えてプログラム案2を作成する予定であった。 結果的には、24年度中に予定より早く対象者家族にプログラム2を実施を実施することができ、連盟研究者を交えた検討を通して修正し、プログラム案3を作成した。 また、24年度の目標として本研究のための事前準備、つまりビデオ観察法を実施する実験室の整備を掲げていた。計画通りビデオカメラやパソコン等の実験のための設備を整え、さらに関連書籍の購入を行った。25年度の中間発表を予定しているLD学会では、関連するこれまでの研究の一部をまとめたポスター発表を行った(科研費からの支出には含めていない)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究を遂行する上での24年度最大の課題は対象者の選定であった。研究者のエフォートに見合った目標の数値として、3~5家族を掲げていたのだが、研究対象者は高機能広汎性障害などの発達障害を母親自身と夫とその子どもであり、母親の承諾は取れたとしても、夫の協力を得ることが難しい可能性があるなど困難な点も予測された。このため、24年度は大学構内で「パパ育児応援講座」(子ども・父親・母親など一般向けとして開催した講座)を実施し、これまでの研究における対象者家族に参加を促すことを計画し、予定通りに実施した結果、ビデオ撮影の協力を3家族から得ることができた。またビデオ撮影には参加できないと表明した母親からも、参加できないという視点からこのプログラムの限界を探るための調査に応じる承諾を得ることができ、計5家族の協力への承諾が得られ、目標値の上限を達成するに至った。 また、プログラムの作成に際しては、計画通りプログラム案1を健常の夫婦の家族にも実施・協力してもらうことができた。その後も予定通り研究協力者や連盟研究者とともにビデオや記録を振り返りながらそのプログラム案1の内容を修正した(プログラム案2)。 予定では、25年度から対象者家族にプログラム案2を実施する予定であったが、スムーズに計画が運んだため、24年度内に対象者家族(1事例)へプログラム案2を実施することが可能となった。この点が、現在の達成度に高評価を付けた最大の理由である。さらに、ビデオカメラやパソコンを用いるための実験室の整備についても計画通りに行うことができている。加えて、25年度には中間発表を予定しているLD学会へのポスター発表も行い、その中では今回の研究の土台となる事例の過去のデータをまとめたものを報告している。 これらのことからみて、24年度は当初の計画以上に進展したものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は、プログラム案3(24年度に対象者家族に実施したプログラム2の修正版)を、残り2事例(ビデオ撮影協力の家族)に実施する。実施後には連盟研究者とともに内容を検証し、プログラム案の改訂を重ねていく。10月に行われるLD学会(22回横浜大会)において、同タイトルのポスター発表を、連盟研究者とともに行う予定であり、その発表での指摘を受けて、プログラム案の改訂をさらに勧める予定である。 また、ビデオ撮影に「参加しない」と表明した母親に対して、「参加しない」理由などに関する調査面接を実施する。この調査面接の実施は、LD学会における中間発表を終えた以降とし、25年度末までには全ての調査面接(実験)を完了させる。 さらに、26年度には、これまでのプログラム案をまとめ、最終的なプログラムを作るために、連盟協力者や連携協力者らとの合同の検討会議を開催する。 また、26年度のLD学会において、これまでの作成の経緯を含めたプログラム開発の結果を発表する。発表したものに基づいて、論文を作成するが、その投稿先については検討会議において検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度は、研究対象者家族や研究協力者、および実験への助手に対してへ、プログラムの実施に際しての拘束時間や労力への対価としての謝金の支払いとして、18000円を予定しており、これが最も経費のかかる費目である。 旅費としてはLD学会などを予定しており(50000円)、物品費としては、実験の途中やまとめの段階で必要となる用紙や文具などを予定している(20000円)。 また、上記以外のものについてその他の項目として50000円を挙げている。
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