本研究の目的は、OCD治療に対する第一選択として提示されている曝露反応妨害法を実施し、その安全性と有効性を明らかにするとともに、OCD患者家族に対する実態調査と介入研究を実施することにより、統合的で有効な新しい治療モデルを構築することにある。平成25年度には、以下の研究を実施した。 1.臨床研究においては、同意を得られた16名のOCD患者に対してERPを実施し、このうち8ケースが終了した。前年度からの終了ケースも含めた13ケースでは、OCD症状を評価するY-BOCS(Yale-Brown Obsessive Compulsive Disorder)と、うつ症状を評価するBDI(Beck Depression Inventory)がいずれも有意に改善した。これまでの知見を踏まえて作成した家族用マニュアルを用いて、家族への介入を実施した。 2.OCDの情報提供においては、専門職を対象にしたOCDに対する認知行動療法に関する研修を6回実施したほか、専門職向け一日ワークショップを1回実施した。また国際OCD財団(International OCD Foundation)から海外講師4名を招聘し、東京と京都に於いて、専門職向けの国際セミナーを開催するなど、OCDの治療や研究に関する最新の情報を提供した。 3.OCD患者家族の巻き込まれ尺度(FAS)と、OCD患者家族の家族機能評価尺度(OFF)の日本語版作成については、各々のバックトランスレーションに関して、原著者から同意を得ている。
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