研究課題/領域番号 |
24653212
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
川合 伸幸 名古屋大学, 情報科学研究科, 准教授 (30335062)
|
キーワード | 単語 / 文字 / サル / スペル / 言語進化 |
研究概要 |
ヒトはなぜ・どのように言語を獲得するようになったかについて、言語学、心理学、生物学、神経科学などさまざまな領域で研究が行われて来た。ヒトだけが言語を操れることは疑いの余地はないが、ヒトの言語が漸進的に進化したか跳躍的な進化をしたかを検討するために、霊長類の言語能力が調べられて来た。霊長類の言語進化の研究は、1)基本的に類人猿を対象に、2)文法の理解/生成に焦点をあててきた。類人猿はある概念を表現するために特定のシンボルを選択することができる。しかし、ヒト以外の動物が任意のシンボルを特定の順序で組み合わせて、ある概念を表現することが可能かどうか、すなわち単語を生成できるかどうかは検討されたことがない。そこで、本研究では、サルが単語を生成できるかを検討する。 サルが「単語を書く」ための訓練を行うためには、複数の予備的な訓練が必要となる。はじめに、サルは反応すべきアルファベットがそれぞれ異なることを習得しなければならない。その後に概念学習を習得し、ようやく概念に対して複数のシンボルを系列的に反応するという訓練が可能となる。その後にようやく、般化テストによって、サルが「単語」を連続したアルファベットとして表象しているかを調べることができる。したがって、必要な訓練は、1)文字(アルファベット)の弁別、2)文字の見本合わせ、3)概念学習、4)概念学習+系列反応である。これらの訓練には相当時間を要すると考えられる。 H25 年度は概念学習の訓練で用いる複数のアルファベットに対する「見本合わせ訓練」を、ニホンザル3頭に対して実施した(最初に「C」が呈示され、それを選ぶと、「C」と「G」が呈示され、最初に選んだ刺激を選べば報酬が与えられる)。選択肢が2つの条件から開始し、早い個体はすでに3つの選択から90%以上の正答率で回答できるまで学習が進んだ。H26年度は4選択に進めて、概念学習を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画通り見本合わせ課題を習得しつつあるが、H24年度より実験装置が1つとなったため、3頭を同時に並行して実施できないので、それなりに時間を要した。
|
今後の研究の推進方策 |
学習が早い個体は3選択の見本合わせが終了したので、続いて4選択へ進み、概念学習に記号を連結させる学習へと進める。
|
次年度の研究費の使用計画 |
予定していた人件費の必要がなかった。 計画的に執行する。
|