研究課題
ヒトはなぜ・どのように言語を獲得するようになったかについて、さまざまな領域で研究が行われて来た。ヒトだけが言語を操れることは疑いの余地はないが、ヒトの言語が漸進的に進化したか跳躍的な進化をしたかを検討するために、霊長類の言語能力が調べられて来た。類人猿はある概念を表現するために特定のシンボルを選択することができる。しかし、ヒト以外の動物が任意のシンボルを特定の順序で組み合わせて、ある概念を表現することが可能かどうか、すなわち単語を生成できるかどうかは検討されたことがない。そこで、本研究では、サルが単語を生成できるかを検討する。サルが「単語を書く」ためには、複数の予備的な訓練が必要となる。まず、サルは反応すべきアルファベットがそれぞれ異なることを習得しなければならない(「C」と「G」は異なるなど)。その後、概念学習を習得して、はじめて概念に対して複数のシンボルを系列的に反応するという訓練が可能となる。その後に、般化テストによって、サルが「単語」を連続したアルファベットとして表象しているかを調べることができる。すなわち必要な過程は、1)文字の弁別、2)文字の見本合わせ、3)概念学習、4)概念学習+系列反応である。H26 年度は、ニホンザル3頭は、概念学習の訓練で用いる複数のアルファベットに対する「見本合わせ課題」を習得した(最初に「C」が呈示され、それを選ぶと、「C」と「G」が呈示され、最初に選んだ刺激を選べば報酬が与えられる)。2個体では、3つの選択肢から、95%以上正しく選べるようになった。さらに1個体は、4つの選択肢から95%以上正しく選択できるようになったため、概念学習の訓練を行った。その結果、2つの概念に対して、連続する2文字を組み合わせて反応することを習得した。しかし、概念を構成する新奇刺激への般化テストや、3文字の組み合わせでのテストまでは実施できなかった。
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