研究課題/領域番号 |
24653213
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
駒井 章治 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 准教授 (50420469)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | リラックス / セーフティーシグナル / 生理指標 / リラクゼーション |
研究概要 |
本研究課題では漸進的筋弛緩法によるリラクゼーションを模した動物モデルを構築し、ここで得られたリラックス状態をセーフティーシグナルと連合させ、時空間的に持ち出すことを目的とする。これによりリラックス状態の実験的再現と、同リラックス状態の持ち出しを目的としている。 刺激のON/OFFの制御が行いやすい物理刺激(触覚刺激および視覚もしくは聴覚刺激)を用いて不快刺激(具体的には頬部への微弱な空気刺激)終了時の緩和過程との連合学習を行っている。現在までのところ、リラクゼーションの生理的指標として血圧の変動を計測しているが、不快刺激終了後0-30秒において有意な血圧減少(約0.08 mmHg/sec減少)と心拍数の減少(0.6 bpm/sec)が見られた。ここでみられた血圧及び心拍の変化に対して条件刺激(37 db、10 kHz)を連合させ、学習曲線を検討したところ、条件づけ前半1-3日に比して、後半8-10日のCS提示時の血圧減少が有意に大きくなった。 これらの結果は本研究課題で目的としているリラクゼーションの動物モデル構築と、同リラックス状態の持ち出しの可能性を示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実績の概要でも述べたとおり、刺激のON/OFFの制御が行いやすい物理刺激(触覚刺激および視覚もしくは聴覚刺激)を用いて不快刺激(具体的には頬部への微弱な空気刺激)終了時の緩和過程との連合学習を行っている。現在までのところ、リラクゼーションの生理的指標として血圧の変動を計測しているが、不快刺激終了後0-30秒において有意な血圧減少(約0.08 mmHg/sec減少)と心拍数の減少(0.6 bpm/sec)が見られた。ここでみられた血圧及び心拍の変化に対して条件刺激(37 db、10 kHz)を連合させ、学習曲線を検討したところ、条件づけ前半1-3日に比して、後半8-10日のCS提示時の血圧減少が有意に大きくなった。 これらの結果は本研究課題で目的としているリラクゼーションの動物モデル構築と、同リラックス状態の持ち出しの可能性を示唆するものである。 しかし、先にも述べたがリラクゼーションの生理指標として血圧や心拍の変動を利用しているが、実際に同指標がリラクゼーションを表しているのか否かは慎重に検討する必要がある。 そこで、今後の研究の推進方略において述べる方略により、同動物モデルの確からしさをより明確なものとし、リラクゼーションの直接的研究が可能となるモデルの構築を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
漸進的筋弛緩法によるリラクゼーションを模した動物モデルを構築し、ここで得られたリラックス状態をセーフティーシグナルと連合させ、時空間的に持ち出すことを目的としてきた。しかし同モデルがどの程度確からしく、これまで直接的に解析がなされてこなかったリラックス過程の理解に寄与できるかは明確ではない。そこで、得られた結果の確からしさを確認する目的で、まず不快刺激(ここではげっ歯類がアラーム信号として利用しているといわれている20 kHz域の超音波を提示)を提示したときの血圧、心拍、呼吸数、パルスディステンションの4項目について計測を行った。ここで得られた各データの検出確率を信号検出理論によりROC曲線を作成し検討を行う。これによりヒットおよびフォールスアラームの出現確率が想定できるため、計測している指標が実際に与える刺激強度に合わせて変化をすることが検証可能となる。つまり、観測したい変化を計測する指標となり得るか否かが明確となるわけである。このような操作により、これまで利用してきた血圧や心拍数が、リラックスや不安、恐怖といった心的状況を観測するにあたって有効な指標であるか否かを検証する。 これと合わせて実際の緊張場面(例えば緊急避難行動など)の際に、持ち出したリラックス状態が有効に働き、冷静な判断に基づき反応時間を短縮できるか否かを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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