本研究課題では漸進的筋弛緩法によるリラクゼーションを模した動物モデルを構築し、ここで得られたリラックス状態をセーフティーシグナルと連合させ、時空間的に持ち出すことを目的とした。これによりリラックス状態の実験的再現と、同リラックス状態の持ち出しを目的とした。 刺激のON/OFFの制御が行いやすい物理刺激(触覚刺激および視覚もしくは聴覚刺激)を用いて不快刺激(具体的には頬部への微弱な空気刺激)終了時の緩和過程との連合学習を行った。リラクゼーションの生理的指標として血圧の変動を計測したが、不快刺激終了後0-30秒において有意な血圧減少(約0.08 mmHg/sec減少)と心拍数の減少(0.6 bpm/sec)が見られた。ここでみられた血圧及び心拍の変化に対して条件刺激(37 db、10 kHz)を連合させ、学習曲線を検討したところ、条件づけ前半1-3日に比して、後半8-10日のCS提示時の血圧減少が有意に大きくなった。 これらの結果は本研究課題で目的としているリラクゼーションの動物モデル構築と、同リラックス状態の持ち出しの可能性を示唆するものであった。 しかし、先にも述べたがリラクゼーションの生理指標として血圧や心拍の変動を利用しているが、実際に同指標がリラクゼーションを表しているのか否かは慎重に検討する必要がある。
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