研究課題
異なる感覚間の相互作用の研究は主に視聴覚の間で検討されてきたが、発達初期から機能し食物ともかかわりがあり、生態学的に重要な感覚である嗅覚を扱うことは検討されていない。そこで本研究では、乳児の視覚と嗅覚の連合学習について検討した。平成26年度は、嗅覚とオモチャとの連合学習を検討する実験についてのデータ収集を行った。具体的には、アニスを香料として手首に装着するオモチャ準備し、これを持ち帰ってもらって遊ばせることで視嗅覚の連合学習を成立させる。そののちに、嗅覚刺激を呈示しながら、視覚刺激の選好を、選好注視法によって検討した。被験者は5-8ヶ月の乳児であった。その結果、女児のみアニスのニオイとオモチャの連合が成立する結果が得られた。さらにこの視覚と嗅覚の連合学習を検討する目的で、1歳児を対象に、同じオモチャを用いて、リーチング行動を指標にした実験を計画した。この検討は、本申請においては計画の段階で期間がきたため終了した。また、食物の選好を決定する過程に対して視覚が果たす役割を検討するため、出荷量が多く接触頻度が高いとみられる食物と、出荷量が少なく接触頻度が少ないとみられる食べ物に関して、写真刺激を用意し、この写真に対する選好を2~3歳の乳児に対して検討した。また、同様に写真刺激に対する選好を、より初期の6-8ヶ月児に対しても検討する目的で、写真の同時呈示による選好注視法による検討も行った。その結果、2-3歳児は果物の写真刺激について接触頻度が高い食物を選好したが、6-8ヶ月児はその傾向が見られなかった。この結果の違いには、食物の接触経験が影響すると考えられる。これらの結果を学会発表を経て論文化し、現在投稿中である。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (1件)
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