研究課題/領域番号 |
24653218
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
甲斐田 幸佐 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (80586264)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 睡眠 / 記憶 |
研究概要 |
平成24年度は、両手の指に触覚刺激を呈示するための装置を自作し、触覚刺激の呈示順序に対して、潜在学習が生じることを確認した。実験では、振動刺激呈示装置(小型のコイン型バイブレーター)および制御用のコンピュータプログラムが正常に動作することを確認後、両手の4本の指に提示された刺激に対して、できるだけ早く正確にキーボードのボタンを押すよう教示した。実験は、予備実験も含め、計35名の被験者に対して2回行った。実験の結果、4本の指に決まった順番で刺激を呈示した場合(提示する順番は12桁)、被験者は提示された刺激に順序があることに気付かないにもかかわらず、刺激提示を繰り返すたびに有意に正反応時間が短くなることが確認され、刺激呈示順序に対して潜在学習が生じることが分かった。この反応時間の短縮は、刺激順序をランダムにすると生じないことも分かった。さらに、この潜在学習効果は、ボタン押し反応(指を動かして能動的にボタンを押す)を押したときにだけ認められ、ボタン押しをしない場合(刺激だけを受動的に受けた場合)には生じにくいことが分かった。本研究の結果は、視覚刺激に対するボタン押し課題において認められる潜在学習効果が、触覚刺激に対しても生じることを示しており、視覚刺激が使えない睡眠中の学習研究に、触覚刺激が利用できることを示唆している。これまで、睡眠中の学習には音刺激や匂い刺激が使われてきたが、本挑戦的萌芽研究により触覚刺激を用いた睡眠中の学習研究への新たな可能性が開かれた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験装置の製作に思いのほか時間を要したため、睡眠中の刺激呈示実験への展開が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に作成し、覚醒中に学習効果が認められた触覚刺激を睡眠中の呈示し、睡眠中の学習過程を調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
睡眠研究に欠かせないアクチグラフの購入、被験者謝金、実験補助者雇用費用、研究成果発表のための旅費・論文投稿費に使用する。
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