研究概要 |
1)適性検査テストを用いたベースグループ構築最適化方法の研究 Collaborative Learningにおいては活動の基本単位となる適切なベースグループの構築が必要となるが,単に学生の成績のみでのグループ化では適切なグループ化は期待できず,最適なベースグループ構築のための指標が必要となる。そのため,クレペリン検査,YGPI適性検査を用いて学生の特性を分析し,最適なベースグループ構築を行うための客観的検査指標について検討した。対象は弘前大学医学部保健学科学生40名とし,クレペリンテストにより計算速度,精力度,疲労度,興奮度,周期性変動,緊張度について算出し,YGPI適性検査において情緒安定性因子,外向性因子,活動性因子,熟慮性因子,不満性因子,攻撃性因子,空想性因子,社会適応性因子について算出した。因子分析結果を用いたグループ構成を行った結果,構成メンバーにおける情緒安定性因子,外向性因子,活動性因子,熟慮性因子,不満性因子,攻撃性因子,空想性因子,社会適応性因子の各因子,ならびに全因子の合計において偏りが認められない構成が構成上良好な評価を得た。これらに各専門分野における成績を加えることで最適化構成が可能と考えられることから,次年度研究において各専門分野知識力評価を加えた構成法について検討を加えることが必要である。 2) Learning Management Systemを用いたPDCAサイクルチェックプロトタイプシステムの構築 本研究では客観的な専門知識力評価を行い,また学生自らが他の学生に対して充分な指導責任を果たした上で相互互恵関係を得られているかをチェックするため Learning Management Systemを用いたPDCA自己管理システムを構築した。基盤システムにはsakai CLEを使用し,テスト運用を行った。実証評価は次年度実施予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
適性検査テストを用いたベースグループ構築最適化方法の研究においては当初の計画に示した客観的グループ化の第1段階となる性格的要因を基にしたグループ因子評価を行い,次年度以降実施予定である実証評価のための基礎データを得ることが出来,また分析を通して偏り補正を行うことができたことから、当初目標は概ね達成したと考えられる。 また,Learning Management Systemを用いたPDCAサイクルチェックプロトタイプシステムの構築においては実証評価の開始に向けた基盤システムの構築を行い,PDCAを実行するためのプロトタイプシステムは完成しており,当初計画を達成していると考えられる。 これらのことから,現在までの達成度においては当初予定の80%程度の実績を達成したといえ,概ね順調な進捗状況であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度以降においては1) Collaborative Learningによる実践的医学教育プログラムの開発を実施する予定であり,本部分では平成24年度結果を基に医学部保健学科の協力学生を対象としてベースグループを構築する。グループ形成の課題として専門知識の偏り補正が必要であることから,理解度テストを加えるなどすることによってグループ形成の適正化をはかる。 グループ化後は,Collaborative LearningとPDCAサイクルについての基礎教育を行った後, ベースグループにおいて分担を決定し,曜日毎に各医学専門分野をローテーションさせ,協同学習を開始する。協同学習においては個々の学生が説明資料を作成し,プレゼンテーションを行うことで学習を進め,学習理解度は過去の国家試験に基づく出題を教員が用意しLearning Management SystemにSCORM2004対応コンテンツをアップロードしデータ集計する。 また実践的医学教育における協同学習法の分析には, テスト=テイキング=チーム法やジグソー法等の複数の協同学習手法の組み合わせによるHybrid Collaborative Learningを各グループにおいて実施し,最適かつ効果的な手法についてLearning Management Systemでの収集データ解析と模擬患者指導を通じたソーシャルスキルを行動解析によって評価する。 比較評価を実施にあたっては,協同学習実施グループと非実施グループとを形成するとともに,行動解析評価において客観性の高いデータ解析を行うための方法についても過去の論文等を参考として複数の方法を用いた検討を加える。
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